経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。
「政府の増税対策のメニューにあるのは、物をどんどん買うなら還元するという景気対策。高齢者や低所得者など、消費増税の影響を最も受ける層の負担を軽くするものではありません」
安倍首相が目玉に掲げたのが「ポイント還元」だ。中小の小売店で商品を購入した客に、税金を原資に価格の2%分のポイントをつけるというもので、ためたポイントは商店やネット販売の代金支払いや値引きに使える。だが、対象になるのはクレジットカードや電子マネーで購入した場合だけ。現金払いだと“戻し税”の恩恵を受けられない。前出の荻原氏が語る。
「政府の家計調査によると、65歳以上の世帯(2人以上)の食費を除いた1か月の平均消費支出は約18万円、年間約216万円です。2%のポイントがもらえないと約4万円を失うことになる」
政府はポイント制を「中小零細商店対策」と説明しているが、商店街の飲食店経営者はこういう。
「うちはカードも使えない小さな店ですから対応できない。それにもともとポイント還元商売は大手チェーンが得意としているし消費者にもそのイメージが強い。お客さんの足が遠のいてしまうのではないか」
税理士でもある立正大学教授の浦野広明氏が政府の狙いを指摘する。