フジテレビ退社時の近藤サトアナ、右は田代尚子アナ(1998年)

 新人のときは目の前の大量の仕事をこなす毎日で、将来のビジョンなんてありませんでした。入社1年目のときに一度、「大河ドラマのナレーションがやりたい」と言って、上司から「局が違うだろ」と怒られたことはありましたが(笑い)。見た目も頭もイモでしたが、そこから仕事を通して成長させてもらいました。

 逆に今の若いアナウンサーたちは、入社時から綺麗なだけでなく、定年まで将来の明確なビジョンを持っていますね。私の若い頃は30歳前後になると仕事を退く風潮がありました。既婚者はごくわずかにいましたが、お子さんがいる女性アナウンサーは私の周りにはひとりもいませんでしたね。

 現在はナレーションの仕事をメインにしています。ナレーションはアナウンサーとは違った技術を求められるので、難しさもありますがやりがいもあります。家庭もありますので、今の方が局アナ時代よりも忙しいですね。

 女子アナをずっと続けていくには視聴者に共感を持たれ続けることが必要だと思います。若く見せようとするより、視聴者から「あの人も年を取ったわね。私も年を取るはずだわ」と見られればいいんですよ。視聴者と一緒に年を重ねられる女性アナウンサー、キャスターの時代が来るといいですね。

 ただ、今から白髪染めをやめても、きれいなグレーヘアになるまで2年くらいはかかります。白髪アナは歓迎ですが、あと2年は私のプチブレイクも続いてくれるかな、なんてね(笑い)。

【プロフィール】こんどう・さと/1968年生まれ、岐阜県出身。フリーアナウンサー、ナレーター。日本大学藝術学部放送学科特任教授。1991年、フジテレビに入社。主に報道番組を担当する。1998年に退社しフリーに。現在『ひるキュン!』(TOKYO MX)に出演中。

◆取材・文/松本祐貴

※週刊ポスト2018年11月2日号

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