「(2)を選んで、50万円を支払わなくてはならないとなったら大きな負担ですよ。(1)の500円は、これを避けて安心を得るための保険料なのです」
といった感じで、「保険とはどういうものか」をていねいに説明すると、今度は(1)を選ぶ人のほうが多くなったそうだ。これを、行動経済学では「保険文脈」と呼んでいる。このように、人は、「大切なものを保険によって守る」ということを理解すると、安心感という効用を感じて、保険に加入しやすくなる。
そこで、家電製品の保証期間を延長するかどうか迷った場合、まずは店員の説明によく耳を傾けてみてはどうだろうか。
それで、「安心感」という効用を感じることができたのであれば、保証期間を延長する。あまり効用を感じられなかったのであれば、延長しないと判断すればいい。
特に、保険などの形のないものを購入するときは、商品やサービスの仕組みをよく理解することが大切だ。仕組みがよくわからないまま購入しても、安心感を得ることはできない。上手に決断するための方法、それは安心を担保に決断するということなのだろう。
最近は、商品を買って所有することで満足する「モノ消費」よりも、商品やサービスを買ってそれを使用することを重視する「コト消費」が伸びているという。安心してコト消費を楽しむためには、商品機能やサービス内容の理解が欠かせないと思われるが、いかがだろうか。