今年の4月、ISC(北太平洋マグロ類国際科学委員会)が発表した太平洋クロマグロの資源評価では、過去の親魚資源量までさかのぼって数字の修正が行われた。2010年の親魚資源量は2万5476トンだったはずが、1万1505トンとなんと約55%も下方修正された。2012年も2万6324トンのはずが1万3795トン(約48%減)。「改ざん」ではないにしても毎度のように繰り返される下方修正。底が抜けたかのようなそら恐ろしさすら感じる。
希望がないわけではない。例えば大西洋クロマグロは漁獲枠を設定し、不正漁獲ができない仕組みを作り上げた結果、資源量がV字回復している。産卵親魚量で見ればV字どころか「J字」と言ってもいいほどの伸びだ。実効性のある規制は不可能ではないのだ。
「不可能ではない」。だがそれには抜本的に漁業の仕組みを変える必要がある。国も漁師も消費者も痛みを伴うかもしれない。だが資源が枯渇してからでは遅い。いつかは舵を切らなければならず、その舵を切るなら早いほどいい。魚の資源保護は、味はもちろん漁業や関連業従事者の生活を守ることにもつながっている。