ライフ

太平洋クロマグロは減少の一途 底が抜けた感すらある

第一回マグロミーティングには三つ星の鮨店やレストランのシェフも登壇

 食に貪欲であることは悪いことではない。だが、旨いうまいと見境なく食べ尽くしていいわけはない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
「僕は怒っている。静かに怒っている。」で始まるその書き込みは半日でシェア数1000を超え、書き込みから3日が経過した10月26日現在、シェア数は4000を超えた。投稿者はタベアルキストのマッキー牧元氏。あまりの拡散の勢いに「こんなの初めてだよ」と驚いていた。

 10月23日、東京築地で「第一回マグロミーティング」が行われた。主催は前出の牧元氏らによる「日本の魚を考える会」と持続可能な魚介の提供を目指す活動を続けるシェフによる一般社団法人Chefs for the Blue。

 パネリストは前出のマッキー牧元氏のほか、三ツ星としてその名を世界に轟かせる「すきやばし次郎」の小野禎一氏、「カンテサンス」の周三氏といった調理人に、仲卸からフジタ水産の藤田浩毅氏、大間の鮪漁師の南芳和氏に漁業関連に詳しいジャーナリストなど、漁師から仲卸、飲食店、メディアまですべての”魚食業”関係者が集合した形となった。

 パネリストだけではない。来場者も鮨の名店に星付きレストランのシェフ、仲卸に加えて、山本益博氏や『dancyu』植野広生編集長など国内屈指の食通がずらりと顔をそろえ、広範囲に渡る「食」関係者の関心の高さを伺わせたが、それだけ来場者の現状認識のレベルやレンジには開きがあった。

 ミーティングは、最初の登壇者、東京海洋大学の勝川俊雄氏が太平洋クロマグロの現状を説明するところからスタート。続くパネリストたちも「いかに魚体が小さくなっているか」「漁獲が少なくなっているか」という、それぞれの立場からの現状と「大手水産会社のまき網船が未成魚を大量に獲る現状」や「水産庁から大手水産会社への天下り名簿」「なぜこうした諸問題が報道されないか」といった日本のマグロが抱える課題について、熱いトークが繰り広げられた。

 実は本稿でも、何度かこの問題について触れている。2013年の「マグロ、未成魚乱獲で絶滅危機のウナギの二の舞になる危険も」という記事では危機感を煽るような見出しをつけてもらったが、書き出しは「ようやく水産庁が水産物の管理強化に乗り出した」と変革を歓迎し、「マグロが消える未来なんて来ない」「いざとなれば関係者は、立場の違いを超えて手を取り合えるはずだ」──。記事にはそんな期待を込めたつもりだった。

 だがその認識は甘かった。それから5年、状況は改善されていない。少なくとも日本近海を回遊する太平洋クロマグロは減少の一途をたどっている。漁がないものとして換算された「初期資源量」比率では2.6%から3.3%へと上昇したが、本来の漁獲量からすると見る影もない。

 にも関わらず、水産庁周辺など行政からは「下げ止まった」「増えてきた」と言う声が聞こえてくる。揚げ句に日本は「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会へと増枠提案を行い、今年の9月却下されている。しかもアメリカ、EU、メキシコなど全世界から「時期尚早」と一斉に反対を唱えられ、資源保護に対する見識がを疑われても仕方ない状況だ。

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン