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2018.11.02 16:00  週刊ポスト

【池内紀氏書評】聖なる謙虚さを身につけた森林管理官の視線

 銃弾におびえた記憶があり、その恐怖感が、慣れ親しんだ土地を捨てる決心をさせる。ジュネーヴ州は安全だという教訓が、「イノシシの世代から世代へ受け継がれる伝統」となっているのはあきらかだ。

 この森林管理者はよき観察者に不可欠のもの、聖なる謙虚さといったものを、しっかと身につけている。動物の身になって考えたなどと、ひとことも言わない。しばしば人間を目にしたときの動物たちのリアクションから考えていく。人間はせいぜい、動物は本能のみで行動すると思いこんでいるが、それはおおかたの場合、人間の行動原理にとどまるのだ。

※週刊ポスト2018年11月9日号

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