同じく『青春とはなんだ』で生徒役だった酒井は『飛び出せ!青春』で国語の先生役に昇格した。
「その時には20歳を過ぎていましたが、いつもお父さんが車で迎えにくるんですよ。まさに清純派女優で、仕事以外で交流がありませんでした。でも一度、父親が偶然おらず、酒井が渋谷での飲み会に付いてきたんです。すると、訪れた居酒屋に『酒井和歌子』という名前のボトルが置いてあった。あれには驚きました(笑い)」(岡田氏)
1979年、新たな視点の学園ドラマが誕生する。金曜20時枠の『3年B組金八先生』(TBS系)は、生徒の現実的な悩みを取り上げた。裏番組で圧倒的な人気を誇っていた『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のプロデューサーを務めていた岡田氏は開始を聞いた時、脅威に感じたという。
「学園ドラマの強さを自覚していましたからね。中学生の妊娠を取り上げた『十五歳の母』は日本中の親が心配しているテーマですから、敵わないなと」
浅井雪乃(杉田かおる)の出産シーンは大きな話題となり、金八ブームが巻き起こる。脇を固めた女優の好演も光った。
「それまでの先生は教壇に立っているイメージが強かったですが、アマゾネスこと天路里美(倍賞美津子)が保健室の先生として活躍。生徒の逃げ場として機能しており、一種のパラダイムシフトが起こりました」(樋口氏)
美術担当の田沢悦子(名取裕子)は学校のマドンナだった。