「名取は『ミス・サラダガール・コンテスト』をキッカケに芸能界入りしていたし、『2年B組仙八先生』の細川安子役である宮崎美子は『ミノルタ』のCMでブレイクしていた。先生役を務める女優がカジュアルなイメージに変わっていきます」(樋口氏)
1988年の『教師びんびん物語』(フジテレビ系)では、紺野美沙子(奥沢まゆみ役)が塾講師役で登場し、田原俊彦演じる熱血教師・徳川龍之介に徐々に心惹かれていく。先生の学校以外での恋愛も描かれるようになったのだ。1989年の『はいすくーる落書』(TBS系)では、諏訪いづみ役の斉藤由貴が問題児の集まる工業高校に赴任した。
「新人男優が先生役としてスターになっていく1970年代と比べ、1980年代後半以降は色のついたスターが先生役にキャスティングされ、女性教師が主役のドラマも増えました」(樋口氏)
時代とともに、学園ドラマの形態は変化したが、根本的な精神は変わらない。岡田氏が話す。
「テレビは若者に対するメッセージを発信しないといけない。私は、人間の生き方や物事に対する考え方を提示してきたつもりです。今でも、『学園ドラマを見たおかげで道を間違えないで生きてこられた』と言われます。これ以上の喜びはありません」
いつの時代も、学園ドラマは現実に悩んでいる先生や生徒たちの心の拠り所である。
◆取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2018年11月9日号