国内

年間数百回講演の僧侶、すべての幸せは人間関係の中にある

講演が人気の薬師寺副執事長・大谷徹奘さん

 参加費が高額にもかかわらず、あっという間に満員になる講演会がある。そんな人気の講演者は、いったいどんな話をしているのだろうか。今回は、薬師寺副執事長の大谷徹奘(てつじょう)さん(55才)に話を聞いた。

 * * *
「幸せとは何だろうか?」

 多くの人が悩む問いですが、私は「人間関係がよいこと=幸せ」であると思います。世の中でいちばん大事なのは、人と人との関係なんです。

 人との関係が悪くなるのは、「自分を通そう」とするからです。例えば、職場で思い通りにならないと、自分を突っ張る人がいます。それで周囲との関係性が悪くなる。自分を通そうとするほど、意見が衝突した時の衝撃が大きくなり、人との関係が崩れます。

 よい人間関係を維持するためのポイントは、「心の持ちよう」にあります。大切なのは、さまざまなことをポジティブに受け止める心の養いです。

“強い雨に当たるのは嫌だ”と思う人でも、「鉄砲の弾」が降ってくることと比べれば、“やっぱり雨でよかった”と思うはずです。それは雨の内容ではなく、心の持ちようが変わったからです。

 人間関係でトラブルがあり、「絶対にあいつが悪い」と思った時は、一度立ち止まって物事を別の角度から眺めてほしい。すると、“自分にも悪い面があったかもしれない”と寛容な心持ちになれるはずです。

 人間が生きている限り、損得や好き嫌いがあることは仕方ありません。特に年齢を重ねた高齢者ほど、それまで自分の歩んできた道にプライドを持つため、頑固になって「我」が強くなります。

 でも高齢者が自己主張ばかりをしたら、次の世代が“これでいいんだ”とワガママな生き方を学んでしまう。長生きすることは大きな勲章ですが、おじいちゃん、おばあちゃんがどんな生き方を見せるかで、下の世代の考え方や生き方は大きく変わります。

 仏教の最も基礎的な考え方は、「人間には終わりがある」ということ。大切なのは、限られた人生の中で自分の運命をまっとうすることです。

 運命とは、“逃げられない定め”ではなく、“命を運ぶ”ことだと思います。その運転手を務めるのは他の誰でもない、自分自身です。だからこそ物事をポジティブにとらえ、他者を思いやる心を涵養したいものです。

【Profile】
薬師寺副執事長 大谷徹奘さん(55才)/薬師寺副執事長。17才で薬師寺の故・高田好胤管長に師事し、薬師寺僧侶となる。日本全国を法話行脚し、年間数百回の法話会を勤める。著書『よっぽどの縁ですね』など多数。

※女性セブン2018年11月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
政治学者の君塚直隆氏(本人提供)
政治学者・君塚直隆氏が考える皇位継承問題「北欧のような“国民の強い希望”があれば小室圭さん騒動は起きなかった」 欧州ではすでに当たり前の“絶対的長子相続制”
週刊ポスト
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン