国内

中国人技能実習生が逃亡し不法就労者「黒工」になるまで

ネットの中国人不法就労者コミュニティには工事現場から中華料理店までさまざまな求人がある

 2018年6月現在、在日中国人の総数は74万人。うち不法滞在者は9500人ほどとされ、彼らの大部分が「黒工」(ヘイゴン)と呼ばれる不法就労者となっている。もっとも日中間の経済格差が縮小した昨今、当初から不法就労を目的に来日する中国人はほとんどいない。黒工たちの多くは、劣悪な労働環境や低賃金が指摘されている外国人技能実習生が就業先から逃亡したパターンか、留学生がオーバーステイしたパターンである。日本人の目には決して見えてこない、在日中国人社会の最末端にうごめく人々の姿をルポライター・安田峰俊氏がお伝えする。

 * * *
「ネットの黒工コミュニティに求人投稿を出したのは事実です。ここは田舎で、働いてくれる中国人がいない。コックでもホールスタッフでも人手が欲しかった」

 千葉県東部、九十九里浜の近くに建つ格安中華料理店で、40代の中国人女性店長はそう話した。周囲には田園地帯が広がり、店の外に出ると堆肥の臭いがプンと鼻を突く。

 近年、地方の国道沿いなどに、原色のどぎつい看板を出す中国人経営の格安中華料理店が増加している(台湾料理を名乗る例も多い)。遼寧省出身の彼女の店も同様で、倒産した定食屋に居抜きで入居。一家が住み込みで経営していた。

 私が店を知った契機は中国のチャットアプリ『QQ』だ。店長はなんと、不法滞在者が集まる複数の在日中国人コミュニティに、堂々と店名を出して求人を投稿していたのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト