ライフ

「猫=魚好き」は間違い? 日本人の食生活が原因か

味の好みやこだわりは生後2か月で決まる(Ph:Getty Images)

 食欲の秋は人間だけに限らない。この時期は、猫も食欲が増すといわれており、飼い主としてはおいしいご飯を与えたいもの。しかし、猫は食べ物の好き嫌いがはっきりしているとか。今回は、そんな食へのこだわりについて深掘りした。

 2005年、アメリカ・フィラデルフィアにあるモネル化学感覚研究所が、「猫は生まれつき甘さを感じる遺伝子が欠損しているため、甘味を感じない」との研究結果を発表した。

 とはいえ、アイスクリームなどが好きな“甘党”の猫も確かにいる。しかしあれは、砂糖などの“甘さ”が好きなのではなく、香りなど他の要素に反応しているのだという。

 このように、猫は甘味を感じないが、味へのこだわり自体は強いと、代官山動物病院・自由が丘動物医療センターの獣医師で、獣医行動診療科認定医の藤井仁美さんは話す。

「味の好みやこだわりなどは、離乳が完了する生後2か月ぐらいまでに食べていたものが影響します」(藤井さん・以下同)

 離乳期に味のバラエティーに富んだ食べ物を与えていれば、成猫になっても味へのこだわりが少なくなる。

 一方で、同じ食べ物ばかり与えていると、特定の味にこだわるようになり、途中で食べ物を変えると食べてくれないなど、好き嫌いが激しくなるという。

◆“猫は魚好き”というわけじゃない! 無理に与えるとストレスで食欲不振に

 猫といえば魚好きというイメージが一般的だが、実はそうでもない。日本人の食生活が魚中心だったので、そのおこぼれをもらううちに、「猫=魚好き」というイメージがついたに過ぎない。

「前述の通り、子猫時代に食べていない食材や味に対しては、好まない猫も多いんです。離乳期に魚を与えられていない猫は、魚は好きではない、というか食べたいとさえ思わないかもしれません」

 ただし、どんな場合も例外があり、食欲が旺盛な猫なら、食欲が警戒心を上回るので、子猫時代に魚を与えられていなくても食べる可能性はある。

 このように、猫は食べ物をえり好みするので、飼い主が与えるキャットフードを食べないケースも多々ある。その理由は、好きな味ではない、味に飽きた、食欲がないなど。

「無理に食べさせようとすると、食べること自体に嫌悪感を覚えてしまう可能性も。かえってストレスによる食欲不振の原因にもなるので、無理強いは禁物です」

 食欲がない時は、食べ物を人肌程度に温めると、食べ物の香りが強くなり、嗅覚を通じて猫の食欲を刺激できる。

 また、高齢の猫や歯肉炎などがある猫の場合、ドライフードはかんだ時に痛みが出るので嫌がる傾向に。個々の猫の好みや現在の健康状態に餌が合っているか、随時確認しよう。

 その他、食べない原因は、好みの問題だけではなく、食欲が減退するような病気が潜んでいる場合も多いという。「食事の量が減っている、1日以上食べない時は、必ず獣医師に相談してください」

 毎日の食事は愛猫の健康を見極めるバロメーター。食事中の様子は、日頃からチェックしておこう。

※女性セブン2018年11月29日・12月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《急逝・中山美穂さんが遺した家族》「次にいつ会えるのかは父親の判断」離婚した辻仁成との間に今年20歳になった長男…直近の元夫はSNS投稿で取り乱し
NEWSポストセブン
舞台
【風間俊介インタビュー】主演舞台『モンスター』稽古に潜入「演劇には人生を変える力はあるし、社会を変える力もある」 役者として目指すのは「コンビニみたいな人」
女性セブン
リハビリに励まれる美智子さま(写真/宮内庁提供)
美智子さま 大腿骨の骨折からわずか1か月半で、自らの足で歩行する驚異の快復 新年一般参賀では愛子さまが“介助役”を担われる可能性
女性セブン
怒りが収まらない大谷翔平(写真/AFP=時事)
大谷翔平、“水原一平被告が盗んだ金で買った野球カード”の返還を急いだ理由 厳しい対応の背景にあるのは、米国内で燻る大谷の“管理責任論”
女性セブン
木村一八が結婚に至った背景とは
【中山美穂さん急逝】『毎度お騒がせします』で恋人役の木村一八「励まし合いながら乗り越え笑い合った」追悼コメント
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
「救急車と消防車が駆けつけて…」俳優・中山美穂(54)さん急逝…自宅前に停まっていた「ナゾの一般車両」
NEWSポストセブン
進一さんとのひともんちゃくについて語る坂口
「今の彼女は言語化ができない状況」坂口杏里さんの元夫が語った“PayPay援助要求”の背景「お金がないはずはないのに…」「福祉の支援が必要」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《追悼》中山美穂さんが生前に月1回通った“第2の実家” 焼肉店オーナーが明かす「お気に入りの指定席」「飾らない素顔」
NEWSポストセブン
殺人容疑で再逮捕された勝田州彦容疑者
《連続女児刺殺事件》再逮捕の勝田州彦容疑者が告白 犯行を急いだ理由は“母の小言”「勝田家では夕食に少しでも遅れるとかなり小言を言われます」
週刊ポスト
公務と受験勉強を両立されていらっしゃる悠仁さま(2024年8月、岐阜県関ヶ原町。撮影/JMPA)
《合否発表は来週》悠仁さまに「筑波大推薦入試を受験」報道「筑附の学生はちょっと有利かもしれません」背景に“高校教員のサポート体制”
NEWSポストセブン
学生時代の折田楓氏(左)。中央はフジテレビの小澤陽子アナ(フェイスブックより)
《“バーキン持ってキラキラ笑顔”をSNSに投稿》刑事告発されたPR会社・折田楓社長(33)、フジ人気アナとの華やかな交流
週刊ポスト
(時事通信フォト)
「妻を守るためなんじゃ…」韓国・尹大統領がいきなり戒厳令、背景に疑惑まみれの“美しすぎるファーストレディ”金建希夫人 かつてファンクラブ会員は9万人に
NEWSポストセブン