前出・小池氏は「中日は松坂にとってベストの環境だった」とも付け加えた。
「西武入団当時の投手コーチだった森繁和さん(前監督、現シニアディレクター)や、デニー友利さん(国際渉外担当)がフロントにいて、松坂の長所や短所を把握しているのはプラスに働いたと思います。
また、中日はベテランにとって調整しやすい環境がある。私も現役時代、中日にお世話になりましたが、全体練習をきっちりやれば、個別練習で口出しされることはほとんどない。松坂は自分で考えて練習するタイプだから合っていたと思う」
松坂はメジャー時代に「投げ込み過多」を批判され、球数を制限されるなどコーチから徹底的に管理されることで調子を落とした。中日での「オレ流調整」が奏功したということか。
●高めに投げていい
元中日の大エースで、今年2月の春季キャンプで臨時コーチを務めた杉下茂氏も、松坂復調の気配を感じ取っていた。
「彼の場合、低めに投げようとした時に、フォームや指先に力みが出ているように見えた。だから“大雑把なコントロールでいいから、肩の力を抜いて高めにゆったりと投げたほうがいい”とアドバイスしたんです。すると球そのものに勢いを感じました。今年はいける、と思いましたね。
来年は全身の力を抜くことを覚えてほしい。そうすれば、シーズンを通して先発ローテーションを守れるし、もっと勝てるはずです」
※週刊ポスト2018年11月30日号