◆気軽に相談できる薬局、薬剤師とタッグを組む
それでも専門的な薬の話を医師と交わすのは少々ハードルが高い。そこで強い味方になってくれるのが、2016年4月から制度がスタートした、かかりつけ薬剤師だ。
かかりつけ薬剤師は、薬による治療や健康、介護に関する豊富な知識と経験を持つ薬剤師から、ユーザー自身が選び、同意書署名で依頼できる。処方箋1枚あたり60円、100円程度(健康保険3割負担の場合)のかかりつけ薬剤師指導料がかかるが、ほかの相談などは無料となる。
「“あなた専属”の薬の専門家と思ってください。その人が受診するすべての医療機関の処方箋をチェックして、普段のんでいる市販薬まで一元的に見ながら、アドバイスとともに薬を渡します。薬の効き目が優れなかったり、副作用が出た場合などは処方医に連絡して連携を取りますし、必要があれば専門の医療機関につなぐ役割も。
夜間や休日の急病や薬の困りごとには24時間、電話で対応。また薬局に来られない場合は自宅まで伺います。私もほぼ毎日、浅草の町を駆け回り、薬を配達したり相談にのったりしているんですよ」
取材時、薬を届ける宮原さんに同行させてもらった。届け先の人の病状はもちろん、各家の家族構成や生活環境、薬に対する考え方まで、まるで旧友のように把握し、薬を届ける数分の間にも、「具合はどう?」「何かあればいつでも電話してくださいね」と、元気に声を掛ける。それだけでも力をもらえそうだ。
「私が所属する『ケイ薬局』は、同じく2016年にスタートした健康サポート薬局。これはかかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品、食事、栄養管理、上手な体の動かし方、介護などに関する商品・情報を備え、地域住民の健康増進を支援。いわば保健所や地域包括支援センターの役割も兼ね備えた薬局です」
今や健康サポート薬局は全国に1593軒と急増中だが、宮原さんはさらに、自分と相性のよい薬剤師や薬局を厳選することをすすめる。
「多くの人は薬や医療に対して受け身になりがち。健康や命にかかわることなのに、無頓着のように思います。これからの超高齢社会を元気に生き抜くには、薬や医療と主体的に向き合わなければ。美容院やレストランは試してみてじっくりお気に入りを探しますよね。同様に薬剤師、医師も、とことん話して相談して、吟味して選んでください。薬や医療のよいパートナー選びが、これからの時代の生きる糧になりますよ」
※女性セブン2018年12月13日号