ライフ

日本読書療法学会会長が勧める高齢者への4種のブックガイド

日本読書療法学会会長が高齢者におすすめする4冊(写真/アフロ)

 人工知能が全国の65才以上、のべ41万人もの生活習慣や行動に関する調査データを分析したところ、健康長寿を延ばすキーワードが、「本や雑誌を読む」だったというニュースが話題になった。

 しかし、高齢や認知症で読む力が衰えても、読書の魅力を享受することはできるのだろうか。自身も読書により、うつ病から回復した経験を持つ日本読書療法学会会長の寺田真理子さんはこう語る。

「いろいろな方法があります。まず詩集やショートショート、それよりさらに短い掌編小説など、文章量の少ない本を選ぶ。集中力が続く1、2ページで完結し、読了感も味わえます。『掌の小説』(川端康成著 新潮社刊 961円)は私も好きで寝る前に1編ずつ読みます。著者が40年余りにわたり書き続けた122編が収録されています。活字が苦手と言う人には画集や写真集などもいいですね。最近は、猫の写真集などが人気を博しているようですが、文章を読まなくても、絵や写真は心の栄養になるのです」(寺田さん・以下同)

 視力の低下には大活字本や音声で楽しめる書籍、オーディオブックも役立つ。また家族などが読み聞かせるという方法もある。

「一方的に読んで聞かせるだけではない、“絵本の読み合い”という方法もあります。読みながら絵本の世界に入り込み、読み手も聞き手も一緒に物語にかかわる場をつくります。『お年寄りと絵本を読みあう』(村中李衣著 ぶどう社 1620円)にノウハウや実例が紹介されています」

 魅力的な本の数々を紹介してもらったが、健康のためにすすめるのは「違う」という。

「本を読んで、楽しい、ワクワクするということが大事なのです。たとえ認知症で、読んだことや内容を忘れても、読んでいる最中に心が動くことに意味があります。ぜひ心が動くお気に入りの一冊を探してみてください」

【寺田さんが高齢者にすすめる本4選】
◆絵本
『なにか、わたしにできることは?』
ホセ・カンパナーリ、ヘスース・シスネロス著 寺田真理子訳 西村書店 1512円
「人は小さなきっかけで変われる。高齢でできないことが増えても、まだ何かできるはずと考える契機に」

◆認知症当事者の本
『認知症になった私が伝えたいこと』
佐藤雅彦著 大月書店 1728円
「認知症による障害を詳しく語る一方で、気持ちの整え方や自分との向き合い方が前向きに丁寧に書かれていて力をもらえます」

◆高齢の著者の作品
『九十歳。何がめでたい』
佐藤愛子著 小学館 1296円
「高齢者にとって同年代の作家の発信は大きな励ましになります。90代になって時代とのズレを嘆く姿は痛快で、大いに共感できるのでは?」

◆文章量の少ない本
『昨日よりちょっとうまくいく「一日一生」の教え』
植西聰著 祥伝社 1490円
「心理エッセイが人気の著者で最近、高齢者のファンが増えているよう。見開き読み切りで、パッと開いてそこだけ読むという気軽な読み方もできます」

※女性セブン2018年12月20日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン