さらに、意外な競争相手も。高級住宅地の代名詞として知られる芦屋。JR芦屋駅の改札口の横にあるのが、高級生食パン「乃が美」の販売所です。
芦屋駅前には、このパンを焼いている店舗も別にあります。2斤864円(税込)、1斤432円(税込)という一般の食パンに比較して高額であるにも関わらず、夕方近くになると、売り切れの札が出されることも珍しくありません。「乃が美」は、大阪市で2013年に創業した企業ですが、現在では全国に100を超す販売店を持つほどに急成長し、さらに海外への進出も行っています。
神戸市に住む40歳代の主婦は、「最近は、ダイエットなど甘いものを気にしている人や避けている人も多くて、ケーキなど洋菓子類を持参するのが難しいなと感じている」と言います。さらに別の50歳代の主婦は、「今までだとケーキの数を少し多めに買って持参すれば、先方の家族にも喜ばれるかなと思っていたけれど、最近は家族も少ないし、ケーキだと好みが違うことも多くて…」と話します。
さらに若い世代になると、20歳代の会社員の女性は、「ケーキ類は、一個当たりかなり高いし、コンビニで売っているスイーツのレベルが高くなっていて、ますます高額な印象が強くなっている。誕生日とか特別な時でないと買わないかも」と洋菓子店離れの理由を分析します。
こうした女性たちが口をそろえて、手土産に推すのがパンなのです。「パンならばもらった方も困らないし、値段的にもちょうどよい感じがする。焼き立てだったりすると、おもたせとしてお茶と一緒にいただくこともできる」と前出の40歳代の主婦も言います。
こうした彼女たちがその代表として挙げるのが、「乃が美」の食パンです。紙袋も高級感があり、ちょっとした手土産に最適だといいます。