臨床医学的には、1日に10回以上トイレに行くと“頻尿”と定義される。正常の範囲は1日に7~8回だ。頻尿と糖尿病との関係について警鐘を鳴らすのは糖尿病専門クリニック「にしだわたる糖尿病内科」院長の西田亙(わたる)氏である。
「寝ている間に喉の渇きとともに何度もトイレに立つようなら、糖尿病の可能性が高いと言えます。私が診てきた患者では血糖値が300mg/dlを超えると夜中1~2時間ごとに起きてトイレに立ち、その度に渇いた喉を潤すため水を飲んでいた人が大半です。少しでも心当たりがあれば、すぐに専門機関への受診を勧めます」
糖尿病になると血糖値が上昇し、体が血液中の糖量を薄めようとして頻尿が起こり、脱水症状から喉が渇く。この傾向は、就寝中のほうが顕著に出るという。
心筋梗塞や心不全とも関係が指摘されている。順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科の磯谷周治氏はこう説明する。
「本来、心臓は立った状態で血液を全身に循環させる強力なポンプ役を果たしています。しかし心機能が低下すると起立状態では血液をうまく全身に送れなくなり、横臥状態になった時に初めて血流が回復する。
横になることで血が回って活性化した腎臓で作られる尿が増えるため、夜中に起きてトイレに行くことが増えるのです」
※週刊ポスト2018年12月21日号