国内

香山リカ氏が選ぶ平成の一冊 『ネットと愛国』

精神科医の香山リカ氏

 平成最後の新年がやってくる。忘れてはいけない「平成」の記憶として、必読の書を一冊、精神科医の香山リカ氏に選んでもらった。

●『ネットと愛国』安田浩一著/講談社+α文庫/900円+税

 精神医学つまりこころの医療を生業としている私にとって、「人権」はすべての治療の前提となるものだ。「人権」はふだん意識される機会が少ないからこそ、私たちは教育あるいは言論の場でその大切さを繰り返し訴え続けなければならない。

 これが昭和の基本原則だった気がするが、平成になって「あえて“人権”のタブーに挑戦」と差別的、排外主義的な言動をする人たちが現れた。その端緒が2000年代になってあらわになった嫌韓・嫌中の動きであり、それはさらに2010年代になってヘイトスピーチデモとして実体化した。在日韓国人などを「害虫」と呼び、「駆除」「殲滅」と叫びながら路上を行進する人たち。はじめて目にしたときは、とても現実の光景とは思えなかった。

 ジャーナリストの安田浩一はこの問題に早くから着目し、この“新しい形の排外主義”がインターネットを介して広まったことから『ネットと愛国』という著作にまとめた。安田が取材したのはネットで「真実に目覚めた」と語る一見まじめそうな若者だが、その彼らが集団になると朝鮮初級学校(小学校)を襲撃したり、在日を「土人」などと平気でののしったりする姿がリアルに描かれている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン