「小沢ー福田」連立は幻に(時事通信フォト)

 小泉首相は経済、安保、外交と日本のあり方を大きく変えた。「構造改革」を掲げて規制緩和や市場開放を推進し、安保ではイラク戦争に自衛隊を派遣、外交では電撃的な北朝鮮訪問で金正日と会談し、日朝平壌宣言を出した。

「『歌手1年、総理2年の使い捨て』と自嘲された保守政界で、5年を超える長期政権を維持した。道路公団など公の予算を効率化し、拉致被害者の奪還にも成功した」(政治ジャーナリスト・宮崎信行氏)

 その真骨頂は、国民を味方に引き込む「劇場型政治」の手法にあった。看板の郵政民営化では、民営化法案が参院で否決されると、「国民に信を問う」と解散・総選挙に踏みきり、自民党の抵抗勢力に“刺客候補”を立てる劇場型選挙で大勝利する。

「郵政民営化のワンイシューで選挙を戦い、党が分裂することでもやってのける非情さが政治には必要だと示した」(政治評論家・有馬晴海氏)

 この郵政選挙で生まれたのが、「議員の給料で念願のBMWが買える」と語った杉村太蔵氏ら大量の小泉チルドレンだ。

 小泉政治に特徴的なのは、同じ識者でも評価が功罪相半ばすることだ。

「政治には議論、審議を通じて反対派を説得することが必要。権力を行使して抵抗勢力を協力勢力にする手法は、時間が経つと間違った選択になってしまう危険が大きい」(有馬氏)

 自衛隊イラク派遣についても、「ブッシュの戦争に日本を参加させ、日本外交を米国の国益遂行手段にすることを加速させた。イラク戦争の総括報告調査の大半が未だ国民に開示されていない」(国際ジャーナリスト・小西克哉氏)との評があった。

 小泉時代の年金改悪で国民負担が重くなり、派遣業法改正で非正規労働者が増えた。「日本の所得格差が拡大し、『勝ち組』と『負け組』が分離して若者が将来に展望を抱けなくなった」(ジャーナリスト・安積明子氏)という負の側面は見落とせない。

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