わずか50秒のあいだに、「ファンの子」「応援してくれた人たち」「応援してくれた人たち」「その人たち」と4度も言葉にした中居の視点は、まずファンにあった。

 自分たちも進まないといけないけど、応援してくれた人たちやっぱり大事だから──。

 これは、アイドルとして歩んできたからこその発言だ。同時に、中居は芸能人・滝沢への配慮も忘れていない。ピリオドを打って終わらなければ、いずれ滝沢にも悔いが残る。だから、花道を作る後押しをした。中居はSMAPファンから貰った愛情を、タッキー&翼とそのファンに還元した。

 解散を知った中居からの「いまのタキツバは『、』なんだ。ちゃんと『。』をつけて活動終了を」という電話を受けて、滝沢は動いた。

「僕はその言葉がすごく重くて。重いんですけど、『やらなければいけないな』とハッとなったんですよね。なので、『ジャニーズカウントダウン』も翼と一緒に出ようと決めました」

 番組の最後、中居は「タッキー&翼の滝沢秀明さんでした」と送り出した。

 一見、何の変哲もない言葉だ。しかし、よく考えてみれば、「滝沢秀明さんでした」と個人の名前だけを挙げれば済む場面である。それを、中居はわざわざ「タッキー&翼の滝沢秀明さんでした」とグループ名を付けた。しかも、「タッキー&翼」の部分をゆっくりと、強調するように発している。

 タッキー&翼は9月10日限りで解散しているから、正確に表現するなら「元タッキー&翼の滝沢秀明さんでした」という言い方になる。細心の注意を払い、準備万端で収録に臨む中居正広がその事実を忘れているはずがない。

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