ライフ

筒井康隆氏「若くもないのに若さを誇示してもはじまらない」

老人の美学を説く筒井康隆氏(共同通信社)

 勘違いしてはいけない。薄汚い老人になるのがいやなら若作りしろなどと言っているのではない。老人になるということは若さによる美しさから遠ざかることなので、それぞれが老人独特の美しさを見出さなければならないと言っているのである。

 どうせわしは老いぼれだ、薄汚いがゆえに人から嫌われても構わないのだと思っているのならそれでもよかろう。しかし人からは嫌われるより好かれた方がいいのである。老醜をさらけ出して平気という開き直りは損でしかない。

 ちょい悪老人というのは案外好かれるし特に若作りしなくてもわりあいいい男が多いので、この辺を志向するならさほど無理しないですむからお薦めだろう。おれの場合は演技の勉強をしてきたので、いろんなタイプの老け方を心得ているからずいぶん得をしている。

 老醜は何よりも精神から発する。ずいぶん以前のことだが、二枚目意識と道徳について考察したことがある。自らを二枚目に擬していればあまり変なことはできない。逮捕された二枚目の不恰好さを想像するがよろしい。同じことが老人にも言える。自分のことを恰好のいい二枚目老人だと思っていれば、たとえ見かけはどうであろうと美しい若者と同等の美しい老人でいられるのである。

 何よりも背筋が伸びているのがよろしい。とぼとぼ歩きもしなくなるしできなくなる。これは若わかしさの誇示ではない。若くもないのに若さを誇示したってはじまらない。老人の美しさというのは老年に対処する精神に由来する美しさだ。

 それでも人生百年時代。無理矢理百歳まで生かされてしまっては、もはや僅かな美さえ保つことは難しいではないかと言う人もいよう。なるほど確かにそうである。骨が弱り筋肉が落ち、からだが自由に動かなくなり骸骨のような顔貌になっては美もへったくれもないとお思いになるかもしれない。

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン