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筒井康隆氏「若くもないのに若さを誇示してもはじまらない」

老人の美学を説く筒井康隆氏(共同通信社)

 勘違いしてはいけない。薄汚い老人になるのがいやなら若作りしろなどと言っているのではない。老人になるということは若さによる美しさから遠ざかることなので、それぞれが老人独特の美しさを見出さなければならないと言っているのである。

 どうせわしは老いぼれだ、薄汚いがゆえに人から嫌われても構わないのだと思っているのならそれでもよかろう。しかし人からは嫌われるより好かれた方がいいのである。老醜をさらけ出して平気という開き直りは損でしかない。

 ちょい悪老人というのは案外好かれるし特に若作りしなくてもわりあいいい男が多いので、この辺を志向するならさほど無理しないですむからお薦めだろう。おれの場合は演技の勉強をしてきたので、いろんなタイプの老け方を心得ているからずいぶん得をしている。

 老醜は何よりも精神から発する。ずいぶん以前のことだが、二枚目意識と道徳について考察したことがある。自らを二枚目に擬していればあまり変なことはできない。逮捕された二枚目の不恰好さを想像するがよろしい。同じことが老人にも言える。自分のことを恰好のいい二枚目老人だと思っていれば、たとえ見かけはどうであろうと美しい若者と同等の美しい老人でいられるのである。

 何よりも背筋が伸びているのがよろしい。とぼとぼ歩きもしなくなるしできなくなる。これは若わかしさの誇示ではない。若くもないのに若さを誇示したってはじまらない。老人の美しさというのは老年に対処する精神に由来する美しさだ。

 それでも人生百年時代。無理矢理百歳まで生かされてしまっては、もはや僅かな美さえ保つことは難しいではないかと言う人もいよう。なるほど確かにそうである。骨が弱り筋肉が落ち、からだが自由に動かなくなり骸骨のような顔貌になっては美もへったくれもないとお思いになるかもしれない。

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