(笑福亭)鶴瓶からも志ん生さんのテープをもらったんで、ヒマがあったら練習するようにしてるよ。
芸人はどんなに面白いネタでも、オチを知ってる客を何度も笑わせることはできない。だけど落語家は「どう落とすか」を客に楽しませるから、何度聴いても面白い。あの時代は娯楽が少なくて、みんなテレビやラジオで落語に聴き入っていた。志ん生さんはそんな耳の肥えたファンを満足させてたワケだから、そりゃ腕が違うよね。もう、あんな人は出てこないだろうよ。
あと、池波さんが言うには、志ん生さんはかなりの人見知りだったみたいなんだよ。で、気に喰わないヤツは正月に挨拶に来ても絶対家に上げないんだって。
だけど、好きなヤツとは何時間も酒を飲みながら喋ってる人だったっていうから、そんなところもオイラと似ているのかもね。
●取材協力/井上雅義
※週刊ポスト2019年1月11日号