どちらの方法も、サイト訪問者が増えるほど利益が増える仕組みです。自分ひとりくらいが見ても影響しない、という軽い気持ちを持つ人が増えるほど漫画村の利益になるので、罪悪感をあまり感じずにすむデザインや仕様が工夫され、便利さを追求する運営がされていました。公式かと見間違えるような工夫のため、海賊版だと理解せずに利用してしまった人もいるようです。
いくら利用しやすかったとしても、それは作者から勝手に奪った作品で行われている商売のひとつです。その海賊版サイトを利用することは、盗品を便利に使っているようなものです。盗んだものを並べた商店は、閉店するのが普通です。インターネット上であろうと、その原則は変わりません。そして、海賊版サイトの運営者は著作権をもつ人たちに対して収益を返すべきですし、読者も、作品を生み出した作者を応援する気持ちを、ほんの少しでよいので忘れずにいて欲しいと思います。
【PROFILE】なかじま・ひろゆき/弁護士(第二東京弁護士会所属)。2010年神戸大学大学院法学研究科法科大学院修了、衆議院議員秘書を経て2011年弁護士登録。国会議員政策担当秘書の資格所持。サイバー犯罪に関しては警察に捜査協力も行う。ITと知的財産分野を中心に活動する他、電力会社や医療法人の顧問、有名ファッションブランドのプロデューサーを務めるなど多岐にわたって活躍する。海賊版問題を解決できる『銀河英雄伝説』ラインハルト・フォン・ローエングラムのような存在の到来を密かに待っている。