芸能

稀勢の里引退 無念と悔しさ一層滲ませた「逃げない」信念

現役引退の会見で涙を見せる稀勢の里

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、引退を発表した第72代横綱・稀勢の里を分析。

 * * *

 大相撲、第72第横綱・稀勢の里が、17年間の力士生活に幕を下ろした。初場所から3日間、ハラハラしながら取り組みを見ていただけに、引退速報が流れた時は「あぁやっぱり」と思った。19年ぶりに日本出身横綱となった稀勢の里について、コラムを書いたのがちょうど2年前の1月だ。わずか2年で、引退会見についても書くことになるとは残念で仕方ない。

 両国国技館で行われた会見場に、ゆったりとした足取りで現れた稀勢の里は、「引退」を口にした時も落ち着いた表情を見せていた。だが質疑応答が始まると、感情の起伏をあまり表に出さない力士と言われていた横綱の目に、見る見るうちに涙が溜まる。

 この日、稀勢の里が選んだのは鮮やかなえんじ色の着物に山吹色の袴。えんじ色も山吹色も伝統的な色で、日本人が好むといわれる色だ。えんじ色は理知的なイメージを感じさせる色であり、赤系は自分の気持ちやエネルギーをアップさせ、感情を強く表現できる色と言われる。この色を着たことで、それまで抑えてきた感情が一気に溢れ出たとしても不思議ではない。

 引退の心境を聞かれると、「皆さまの」と声を震わせ、「期待に沿えられないことは非常に悔いが残る」述べた。続けて「私の」と言いかけたが、声を詰まらせる。そして、「土俵人生に一片の悔いもございません」と頷きながらも言い切った後、唇を噛んだ稀勢の里。その頬に涙が伝う。ケガをしても土俵に上がったこと、完治しないまま場所に出場したことなど、あの時、こうしていればという悔いはないが、横綱として思う存分戦えなかったこと、その姿を人々に見せられなかったことは無念で残念で悔しいのだろう。
 
「土俵人生で貫いてきた信念は」と問われると、「絶対に逃げない気持ち」とかすれた涙声で答えた。また、引退の理由について、「やり切った」「自分の相撲が取れなくなった」「ケガをする前の自分に戻れなかった」と、何度も涙を拭いながら説明した稀勢の里。「このまま潔く引退するか、いつも自問自答していた」と話すその言葉から、「もしかすると自分は引退を先延ばししているのかもしれない」そんな葛藤と心の中でずっと戦っていたことを伺わせた。

 

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン