サントリーの「金麦」、アサヒの「クリアアサヒ」、キリンの「のどごし」は第3のビールで3強化しており、消費者の認知度も高い。一方の「本麒麟」は、大ヒットしたものの「まだまだ認知率は低い。当社の調査では50%台で、まだ半分弱の人は『本麒麟』の存在を知らない」(キリンの布施社長)状況だ。
逆にいえば「本麒麟」の伸びしろはまだまだあり、他社製品からの顧客流入はもちろん、「のどごし」から「本麒麟」へも、さらに流れてくる可能性もある。キリンもすでに「本麒麟」を順次リニューアルしており、ライバルの出現を迎え撃つ状況だ。
一方のサントリーも「史上最大の攻勢で新ジャンル市場を牽引したい」(前出の山田社長)と意気込み、「金麦」本体も3月にフルリニューアルし、過去最大の広告宣伝量を投下する予定だ。仮に「金麦〈ゴールド・ラガー〉」が想定以上のヒットになれば、「のどごし」同様、やはりレギュラーの「金麦」から流入してくる消費者も増えるだろう。
ビールメーカー4社のカテゴリー別構成比を見ると、キリンはビール、発泡酒、第3のビールの均等型、アサヒとサッポロはビールに比重があるのに対し、サントリーは発泡酒市場は撤退していることもあって、ビールが3分の1、第3のビールで3分の2を占めている。
それだけに、サントリーにとって他社以上に第3のビールは負けられない戦いになるわけで、打倒「本麒麟」の意気込みも頷ける。「本麒麟」vs「金麦〈ゴールド・ラガー〉」の攻防は2月5日、その火ぶたが切って落とされる。
●取材・文/河野圭祐(ジャーナリスト)