ライフ

残業命じる上司に契約従業員「怒鳴られてまで働かない」の反乱

オバ記者が短期パートをレポート(イラスト/腹肉ツヤ子)

 女性セブンの体当たり系名物記者「オバ記者」こと野原広子(61才)。短期バイトとして働き始めると人間ドラマが見えてきた。最近は、本業のライターをしつつ、短期バイトを転々としている。

 * * *
「さあ、今日はどんな職場かな」 短くて1日、長くて5日の超短期の契約で働くようになって3か月。

 毎回、わくわくとハラハラ、うひひひとムカムカの間を行ったり来たりしている。61才にして初めて目にする人、味わう思い!

「DMのピッキング、封入れ、梱包作業」をするために都内の倉庫へ朝8時半に着いたら、何やら大声でモメている。

「段取り、どうなってるの!」

「これでどうしろって?」

 あせたオリーブ色の作業着を着た年配の常勤のパート女性6人が、歌手の吉幾三から生気を抜いたような50代男に口々に詰め寄っているの。日雇いパートの私たちは、放置されたまま20分、30分…。

 やっとこっちを見たと思ったら、「何、ボーッと突っ立ってんの。掃除してよ。道具はあっち!」と、私たちをアゴで指示したのが、漆黒のボブヘアの、60代半ばのHさん。

 蛍光灯の明かりの倉庫に、彼女のだみ声が鳴り響いていた。ベルトコンベヤーの前に立って、流れてくる書類を次々と1つの封筒に入れる作業は、NHKの朝ドラ『ひよっこ』の“谷田部みね子”になったみたい。

 みね子がしていたのはトランジスタラジオの組み立てで、手先の不器用な彼女はよく手を挙げてラインを止めていたっけ。

「遅いよ。これじゃ遅すぎ」

 ボブヘアのHさんに言われて、“吉幾三”が流れるスピードを少しずつ速める。「今日初めての人もいるし、最初はゆっくりでいいんじゃない?」と、他の人がたしなめても、聞こえないふりだ。

 ベルトコンベヤーが動き出した。必死で冊子を封筒に入れる。だけどタイミングがずれると作業が終わらないまま、次の人に流れていってしまい、パニック。

 川上から、「止めてくださ~い」という声があがった。「ごめんなさい、止めてください」「すみませんっ」。

 同じ人が4回目に手を挙げたとき、Hさんは「いい加減にしてッ。何回失敗をするの」と、ヒステリックな声をあげたんだわ。

 空気が張り詰めたその直後のこと。今度は私がはがきを入れ忘れた。ラインを止めないと! だけどそうはしなかった。「面倒なことはやめ、やめ」ととっさに黒い私がささやき、頬かむり。

 何日か同じ職場で働くなら、面罵を受け入れたと思うよ。でも「今日だけ」だしなぁ。

関連記事

トピックス

レッドカーペットに仲よく手をつないで登場した大谷翔平と真美子夫人(写真/Getty Images)
《5試合連続HRは日本人初の快挙》大谷翔平“手つなぎオールスター”から絶好調 写真撮影ではかわいさ全開、リンクコーデお披露目ではさりげない優しさも 
女性セブン
お気に入りの服を“鬼リピ”中の佳子さま(共同通信)
《佳子さまが“鬼リピ”されているファッション》御殿場でまた“水玉ワンピース”をご着用…「まさに等身大」と専門家が愛用ブランドを絶賛する理由
NEWSポストセブン
選挙中からいわくつきの投資会社との接点が取り沙汰されていた佐々木りえ氏
《維新・大阪トップ当選の佐々木りえ氏に浮上した疑惑》「危うい投資会社」への関わりを示す複数のファクト 本人は直撃電話に「失礼です」、維新は「疑念を招いたことは残念」と回答
週刊ポスト
学園ドラマの枠を超えた話題のドラマ『ちはやふる―めぐり―』(公式HPより)
《学園ドラマに“異変”も》映画続編、法律、児相…夏休み中の夏ドラマで子どもの描き方が変わった背景 
NEWSポストセブン
筑波大学で学生生活を送る悠仁さま(時事通信フォト)
【悠仁さま通学の筑波大学で異変】トイレ大改修計画の真相 発注規模は「3500万円未満」…大学は「在籍とは関係ない」と回答
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
《佳子さま盗撮騒動その後》宮内庁は「現時点で対応は考えておりません」…打つ手なし状態、カレンダー発売にも見える佳子さまの“絶大な人気ぶり”
NEWSポストセブン
2025年7月場所
名古屋場所「溜席の着物美人」がピンクワンピースで登場 「暑いですから…」「新会場はクーラーがよく効いている」 千秋楽は「ブルーの着物で観戦予定」と明かす
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
【衝撃の証拠写真】「DVを受けて体じゅうにアザ」「首に赤い締め跡」岡崎彩咲陽さんが白井秀征被告から受けていた“執拗な暴力”、「警察に殺されたも同然」と署名活動も《川崎・ストーカー殺人事件》
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《“ドバイ案件”疑惑のウクライナ美女》参加モデルがメディアに証言した“衝撃のパーティー内容”「頭皮を剥がされた」「パスポートを奪われ逃げ場がなく」
NEWSポストセブン
今はデジタルで描く漫画家も多くなった(イメージ)
《漫画家・三田紀房の告白》「カネが欲しい! だから僕は漫画を描いた」父親の借金1億円、来る日も来る日も借金を返すだけの地獄の先に掴んだもの
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民落選議員が参政党「日本人ファースト」に異議あり!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民落選議員が参政党「日本人ファースト」に異議あり!ほか
NEWSポストセブン