ライフ

猫のしつけに「鞭」は不必要 悪いことをしたら「無視」で

猫はメリットを与えながらほめよう(Ph:Getty Images)

 犬と違って、“猫にしつけは無理”などといわれることも多いが、実は大間違いだという。猫にもちゃんとしつけはできるのだ。ただし、一筋縄ではいかないことは確かで、ちょっとしたコツがいるという。そこで、猫のしつけ方を、専門家に教えてもらった。

 一般社団法人ペットフード協会が行った「平成30年全国犬猫飼育実態調査」によると、飼育場所が室内のみの猫は全体の78.3%。2年前から毎年約4%ずつ増加しており、過去最高を記録した。

 このデータからも、ひとつ屋根の下、猫と共同生活をする人が増えていることがわかるが、室内で一緒に暮らす以上、猫にやっていいことと悪いことを教える“しつけ”は必要だ。

「しつけとは、トイレで排泄するなど、動物に“飼い主にとって望ましい行動”を学習させること。しつけは猫にも可能ですが、犬より猫の方が難しいのは確かです」

 と、獣医行動診療科認定医の藤井仁美さんは言う。

「犬は群れで行動するため、社会的な関係の中で生きる状況に適応しやすく、飼い主の指示にも耳を傾けます。しかし、猫は単独行動で生きる動物なので、自分以外の相手に従うという意識が犬ほど強くありません。また、警戒心が非常に強く、人間に対しても、信頼感より警戒心の方を持ちやすいんです」(藤井さん・以下同)

◆悪いことをしたら無視を! 家族でしつけの方針を統一しよう

 猫をしつけるには、まず警戒心を解く必要があるという。そのためのポイントは次の2つだ。

【1】猫が安心安全で快適に生活できる環境を用意する
【2】飼い主は敵ではないと確信させるような接し方をする

「身の安全を確保してあげることで猫は、“飼い主は自分にとって多大なメリットをもたらす存在”と思うようになります。そうやって猫と少しずつ信頼関係を築いていきましょう」

 【1】と【2】の条件を満たしたうえで、いいことと悪いことを学習させていく。

「しつけには、基本的に猫が喜ぶおやつなどを用います。おやつではなくても、猫にとってメリットとなるものでもけっこうです。正しい行動ができたら、おやつなどをあげます。ごほうびを与えることで、“飼い主が望ましいと思う行動を、喜んで行いたい”と思えるように学習させます」

 手を咬むなどの悪いことをしたら、無視することも大切。叩く、水をかけるなど、猫が嫌悪感や恐怖心を抱くような罰は、ゆめゆめ与えてはいけない。猫のしつけに“鞭”は必要ないのだ。

「叩くなどすれば、猫は飼い主に対して警戒心を抱き、その後、再び信頼関係を築くことは非常に困難になります。また、家族でしつけの方針がバラバラだと猫も混乱するので、家族間で考えを統一させましょう」

 最も大事なのは、飼い主が猫について理解すること。かわいいからと必要以上にベタベタして、逆に嫌われては本末転倒だ。

 猫と人間が仲よく暮らすためにはしつけは必須。お互いのために、根気よく向き合っていこう。

※女性セブン2019年2月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
暑くなる前に行くバイクでツーリングは爽快なのだが(写真提供/イメージマート)
《猛暑の影響》旧車會が「ナイツー」するように 住民から出る不満「夜、寝てるとブンブン聞こえてくる」「エンジンかけっぱなしで眠れない」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン