──足し算と引き算か……。

原:野球界のみならず、人生は足し算ばかりじゃ面白くない。とくに勝負の世界ではなおさらです。

──ワシが(ロッテの)監督の頃は、ドラフトで指名した選手に「行きたくない」と号泣されたことがあったが、時代も変わったのぉ。

原:FAやドラフトが確立されて、選手もフェアな制度だと思えるようになったんじゃないですかね。カネさんの時代は10年選手制度(※注)がありましたが、ボクの時代にはなかったですから、ひとつの球団に永久就職という感覚でした。

【※注/実働10年を迎えた選手は、自らの意思で球団を移籍することができる制度。1975年に廃止され、1993年にFA制度が始まるまで、選手の移籍に関する制度は確立されていなかった】

──まァ、プロにはこういった話はつきもの。移籍する人間には、つべこべ言わず「黙って行け!」ということだな。

原:ボクはジャイアンツ一途だったのであまり考えたことはなかったですが……。内海と長野の力を西武、カープが認めたというところは、賛辞を送る気持ちです。

──ワシが監督の頃なら、文句を少しでも言ったらひっぱたいているけどなぁ。

原:内海と長野はそんなことないですよ。2人ともすぐに電話をくれた。ボクは「28人の中にプロテクトできなかった。ジャイアンツの一員としては“29番目の選手”だった。しかし、こうやって西武や広島からお呼びが掛かったことは(2人を)尊敬するよ。頑張ってくれ、俺たちも頑張る」と話しました。

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