新車販売ばかりではない。中古車市場でもハイエースは大人気だ。前出のファクトリー関係者によれば、古いモデルや走行距離の多いモデルでも高値がつき、しかも安定してすぐさばけるのだという。
「なぜハイエースが? と言われると、実は理由は明確ではないんです。信頼性や耐久性、室内の広さは最大の競合モデルである日産『キャラバン』や、消えていった多くのライバルも十分に持ち合わせていたからです。
といって、わけもなくハイエースが他を圧倒したのかというと、そうでもない。ビジネスを手がけている自分自身、ハイエースには妙に惹かれる要素がある。いかにも強固で、かつ質実剛健を絵に描いたようなデザインのためかもしれません。
もちろん使いやすさ、改装のしやすさなど、フリーダムを感じさせる点も魅力。キャブオーバー車のハイエースはニッチ商品ですが、そのニッチには案外たくさんのファンがいる。そういう世界でオンリーワンになったクルマは実に強く、本当に値崩れしませんね」
実際、カスタムカーショーやキャンピングカーショーなど、趣味の世界の改造車のイベントを訪れると、ハイエースをベースにカスタマイズされたものを必ずと言っていいほど見かける。
その世界ではまさに不動の人気モデルと言うべきだが、そんなハイエースファンに一石を投じる出来事があった。2月18日、トヨタが突如、フィリピンで海外向けの新型ハイエースを発表したのである。
新型ハイエースは、これまでのハイエースとはガラリとイメージを変えてきた。新型ハイエースはフロントがストンと落ちた独特のワンボックスフォルムから一転、ボンネットつきのグローバル商用車へと衣替え。
全幅は1950mmと小型トラックなみに広く、全長はノーマルボディでも5mをゆうに超え、ロングボディでは約6mに達する。現行ハイエースにも全幅1880mmの3ナンバーモデルはあるが、それと比べても格段に大きい。名前こそハイエースだが、今までのハイエースとはもはや別物になったと考えていい。
トヨタは今のところ、新型ハイエースを投入する市場としてASEAN(東南アジア)、中東、中南米、オーストラリアを挙げており、日本はリストに入っていない。が、このモデルが登場したことで、日本向けハイエースもフルモデルチェンジされる公算がにわかに高まってきた。ハイエースファンにとっては、次のハイエースがどんなクルマになるか、大いに気になるところであろう。
次期モデルについては具体的な情報はほとんど流れていないが、ヒントはある。