国内

アポ電強盗 発生の背景にオレオレ詐欺グループの劣化

アポ電強盗が起きることは予想されていた

 名簿をもとに「アポ電」をかけ、金があることを確かめてから強盗に入る。そんな犯罪が続いているが、そこで使われている名簿は、もともとオレオレ詐欺で利用されていたものが転用されているという。ライターの森鷹久氏が、詐欺グループから荒っぽい窃盗グループが誕生してしまった経緯について、レポートする。

 * * *
「偶発的なものかもしれないが、まさかタタキ(暴行)、ましてや殺しまでやるなんて…」

 今年一月と二月に、東京都渋谷区初台、笹塚でそれぞれ起きた強盗事件。そして、今回江東区東陽町で起きた強盗殺人(とみられる)事件。いずれも「アポ電」といわれる、被害者への事前の電話連絡があったという特異な事件について、男性は絞り出すように答えた後、絶句した。彼は、かつて特殊詐欺、いわゆるオレオレ詐欺実行グループの元リーダーだったX氏だ。

 一昨年夏、当局の取り締まりに対抗するために、オレオレ詐欺で方言を使っていることを明かしてくれたのがX氏だった。そのとき、彼は「弱り切った金持ちの老人がそこにいるとすれば…食えなくなった半グレはなんでもしますよ」と、新たな犯罪グループが生まれるかもしれないと予言していた。

 これは、オレオレ詐欺で食えなくなった者たちが、裕福な老人リストをオレオレ詐欺にだけでなく、悪質な訪問販売、泥棒などに使うのではないか、というX氏の見立てだった。あれからわずか一年半、彼の想像以上のことが、今回起きてしまったと彼は受け取っているのだ。

「オレオレやる奴は“実行”を嫌がる。根元(元締め)に近いほどその兆候は顕著で、逮捕の可能性が高い受け子やかけ子はやらない。部下にタタキをやらせるなんてもってのほかだと当時答えたのは、オレオレの名簿を使っての空き巣くらいなら、やる奴がいてもおかしくない、という程度の話だったんです」(X氏)

 しかし一昨年の取材から半年後、彼の予測は当たってしまった。かつて、オレオレ詐欺グループで部下として働いていたY氏が、オレオレ詐欺で利用していた名簿を使って悪質リフォーム業を始めていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン