私は以前、ベテラン脚本家から、「飲食店を設定しておけば、誰が来ても不自然ではないし、みんなを集めて話を進めやすい」と聞いたことがある。確かに。みんなが集う店なら、登場人物の本音や思惑が語られ、視聴者に「心の中」を伝えやすいというものだ。
「ちちんぷいぷい」でも、屋代は仕事に全力を注ぎ、ろくに家に戻らない妻について、人の家を売るのはいいが「自分の家が崩壊しちゃうよ」と嘆き、“サンチー(三軒家チーフ)の犬”と呼ばれる子分待遇の庭野は「三軒家チーフを卒業します!!」とカラオケ『青春時代』を歌いまくる。共感もあれば笑いもある。会議室でも家庭でも出せない人間味丸出しの飲食店シーンがいかに面白いか。やっぱり、これはドラマのカギだ。あっぱれ、ちちんぷいぷい!