国内

オレオレ詐欺グループ 受け子と出し子に保証金払わせる理由

オレオレ詐欺でも受け子と出し子は逮捕されやすい

 東京・江東区で起きた強盗殺人の容疑者3人が逮捕された。今年になって渋谷区で起きた強盗事件とも関連していると見られており、オレオレ詐欺グループが「アポ電」を利用して強盗も繰り返していたことで防犯への関心が高まっている。昨年、約350億円もの被害を出している特殊詐欺の世界だが、500億円を超えていた時代よりも儲からないからと粗暴になってきたらしい。ライターの森鷹久氏が、共食いの様相もみせ始めているオレオレ詐欺の変質についてレポートする。

 * * *
「オレオレ(詐欺)は儲からないですからね。オレオレで使う金持ち、高齢者とかの名簿を使った空き巣や強盗、不動産投資詐欺が拡がりつつある。あとは…オレオレ詐欺関係者同士で“共食い”するパターンもあります」

 こう証言するのは、関西地方を拠点に活動してきたあるオレオレ詐欺グループの元幹部(30代)。そして、儲からなくなったことで、詐欺グループのあり方が変わってきたと続ける。

 元幹部の後輩が運営するオレオレ詐欺グループでは、受け子や出し子により指示役が騙されたり脅迫されたり、もしくは受け子や出し子が別の詐欺グループの関係者に襲撃されるなどして、詐欺で得た金品が奪われる“事件”が続出しているのだという。それは、グループのメンバーとして新たに集められている人間の質が変化してきたからだ。

「受け子や出し子は、今やネット掲示板やSNSに書き込まれた“高額バイト募集”などの書き込みによって集められます。以前は(電話の)かけ子や詐欺グループに近しい“信頼できる”後輩などの人材にやらせていましたが、あまりにも捕まるリスクが高く、誰もやりたがらない。金に困っていたり、ネットを見て集まってくるような考えの浅い連中なら、高額報酬に目が眩んで簡単にやってくれます。しかし連中は、本当に質が悪い」(元幹部)

 かつてのように、地元の先輩や後輩といったような繋がりがもともとある場合は、報酬や仕事内容の不満が理由で、グループが内側から崩壊するようなことは滅多になかった。ところが最近では、いつ部下に裏切られるか警戒するのが普通になっている。これは、彼が知るグループが特殊なわけではない。

 詐欺師グループ内部の「仲間割れ」を発端としたトラブルの事件化は、以前から存在はしていた。2004年には当時隆盛を極めた「架空請求詐欺」に関わった男らによる凄惨なリンチ殺人事件が発生した。近年でも、振り込め詐欺に関与した高校生同士による暴行事件が起きた。それぞれ発生した時点では、一部の特殊なグループで起きた出来事だと受け止められていたのが、最近ではそのような経過を辿ることの方が“普通”だと見做す傾向にある。

 どのような詐欺案件でも、関わる人間が増え、当局に睨まれれば睨まれるほど、詐欺師グループメンバーの統制が取れなくなる。オレオレ詐欺においても、こうして詐欺の受け子や出し子の“クオリティ”が下がった結果、詐欺の現場で得た金を、持ち逃げしたり、上納金を過少に申告するなどする者が現れだした。受け子や出し子が指示役に対して「警察に話す」「詐欺であることをバラす」と強気に出てきて、自身の報酬を釣り上げるようなパターンもあるという。

 彼らの勘違いした強気をくじくため、オレオレ詐欺の世界では、受け子や出し子に保証金や立替金を支払わせるのが当たり前になってきているのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
レッドカーペット大谷夫妻 米大リーグ・大谷  米大リーグのオールスター戦で、試合前恒例行事のレッドカーペットショーに参加したドジャース・大谷翔平と妻真美子さん=15日、アトランタ(共同)
《ピーチドレスの真美子さん》「妻に合わせて僕が選んだ」大谷翔平の胸元に光る“蜂の巣ジュエリー”と“夫婦リンクコーデ”から浮かび上がる「家族への深い愛」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
この日は友人とワインバルを訪れていた
《「日本人ファースト」への発言が物議》「私も覚悟持ってしゃべるわよ」TBS報道の顔・山本恵里伽アナ“インスタ大荒れ”“トシちゃん発言”でも揺るがない〈芯の強さ〉
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン