今年の春節(旧正月=2月5日)の長期休暇では、世界各国で中国人の海外旅行が目立っており、日本はタイに次いで人気観光地の第2位だった。だが、かつてのように、日本を訪れる中国人の「爆買い」はめっきり影を潜め、極めて質素になっているようだ。中国事情に詳しいジャーナリストの相馬勝氏が、中国人旅行者の最新事情を解説する。
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中国の旅行専門ニュースサイト「シートリップ」によると、中国では春節の10日間ほどの長期休暇で過去最高の700万人が海外で過ごした。
日本政府観光局(JNTO)によると、2月の訪日外国人客数が前年同月比3.8%増の260万4300人で、5カ月連続で増加し、2月として過去最高を更新。このうち約4分の1が中国人観光客で、その数は72万3600人と昨年並みだったという。とはいえ、ここ数年は懐事情が寂しくなっているようだ。
筆者は、この大型連休を利用して、日本観光に来る北京や上海、あるいは香港や台湾の知人のほか、一時帰国している日系企業駐在員の友人らと会う機会が多かった。
彼らから聞く話は「去年から今年にかけて景気が悪くなった。給料も上がらず、物も売れない」というものばかりだった。
北京から来た知人は「もう10年以上も乗っている自動車を買い替えたいが、新車は高いので手が出ない。中古車で我慢するしかないよ」と嘆いていた。ちなみに、「中古車」は中国語で「第二手汽車」。「第二手」は英語で「セカンドハンド(セコハン)」、「汽車」は自動車だ。