2015年3月、『ニュースな晩餐会』(フジテレビ系)で、ある食品工場の社内イジメを取り上げた際、被害者のインタビューを元にした再現VTRで、イジメの首謀者として描かれた社員がBPOに人権侵害を申し立てた。この際も、BPOは「被害者の取材のみに依拠して作成した」として、「放送倫理上問題がある」との見解を示している。
テレビの取材手法に詳しい立教大学名誉教授(メディア法)の服部孝章氏が語る。
「テレビ離れの影響もあって、昨今は制作側がより突飛な話やドラマチックな内容を求める傾向が今まで以上に強い。一方で、基本的な事実確認が置き去りになっているように思えます。
一定の演出が許容されるバラエティ番組であっても、基本的な確認作業すらなく一方的な内容が放送されるのは極めて問題です。特に犯罪事実に関わる内容であれば、匿名だとしても慎重にならなければいけない。公共の電波を使う巨大メディアがどれだけ影響力を持つか、自覚が足りていないのではないか」
今回の一件についてSHIHOに話を聞くと、「Aさんの主張には困惑しています。事実は一つです。申し訳ないのですが、この一件については、これ以上お話しできません」と答えた。
TBSは「現在、対応を協議中です」(広報部)とするのみで、締め切りまでに見解を示すことはなかった。このまま“あの問題は今”にしてはならないだろう。
※週刊ポスト2019年4月12日号