──野草のよさは何でしょうか?
境野:野草には、体に必要な微量栄養素であるビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ハウスものより紫外線を浴びた“地もの”の方が、がんを抑制する抗酸化物質が多く含まれるといわれています。これらはピンポイントで病気を叩く薬とは違い、副作用がほとんどなく食事として取れる薬。体を温めたり利尿作用で体の毒を排出したり、時間をかけて体調を改善する食材です。野草は、数千年も昔から民間薬として、人々の健康維持に使われてきました。学ぶことがたくさんあります。
──野草が子供の命を救ったのですね。
境野:私を含め家族全員、今も助けられています。家庭内実験ですね。昔、研究所で私が調べていた食品添加物のうちのいくつかは、毒性が強く発売禁止になりました。普段、誰もが食べていた豆腐やお菓子の中に含まれていたのです。そのまま食べ続けていたらどうなったでしょうか。それらの毒物を禁止にできたのは、主婦たちの消費者運動があったおかげです。これからの日本の食を守っていけるのは、主婦である皆さんなのかもしれません。
◆多種類の野草茶で体調を改善
──野草を食事として取り入れるよい方法はありますか?
境野:植物から最大限に栄養や薬効を引き出す方法は煮出すこと。植物を薬にした漢方薬も、一般的に煮出して使います。ですので、野草もお茶にしたりスープにしたりして飲む方が、栄養素を吸収しやすく効き目がよいとされています。わが家では野草を乾燥させて少し煮出して、お茶にして飲んでいます。はじめて自分で作って飲んだときは、体中の血液が浄化されていくようで、ただの野草がこんなにおいしいものかと驚きました。
──具体的にどうやって作ればよいのでしょうか?
境野:まずは、お茶にできる野草を採取したり購入します。採取する場合は花が咲く寸前、つぼみの頃が薬効が高いとされています。採った野草はザルの上に広げてカラカラになるまで干します。できるだけ緑の色を損なわないように日陰で干してください。
──飲むときの注意点はありますか?
境野:野草は1種類だけではなく、多種類の野草を合わせることが重要です。1種類だけを大量に飲みすぎると、体質によっては薬効が強すぎて逆に健康被害が起こることもあります。漢方の生薬も同じ理由で数種類混ぜるのが基本。できるだけ5種類以上は混ぜて、ステンレスやホウロウなどの鍋ややかんに入れて煮出します(鉄鍋や銅鍋などは薬草成分と化学反応を起こし、成分が変質しやすいので不可)。薬効よりもおいしさを求めるなら、日本茶を飲むように、乾燥した野草を急須に入れてお湯を注いで飲むとよいでしょう。
※女性セブン2019年4月18日号