国内

「人工透析を受けない選択肢」と「命の終い方」を考える

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 医療が発達し、治療法が普及するにつれ、人は簡単に死ねなくなっている。だが、いつか死ぬのが人間だ。人工透析治療を止める選択肢を提示された女性患者が死亡した問題をきっかけに、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、命の終い方について考えた。

 * * *
 東京都福生市にある公立福生病院で、人工透析治療を止める選択肢を提示された女性患者(当時44歳)が死亡した問題が波紋を呼んでいる。医療を受ける患者の権利が奪われているとか、医師による死への誘導ではないかと報じられた。

 しかも、亡くなった女性が、直前に透析中止の意思をひるがえしたと報じられ、なぜ中止が中止されなかったのか、病院の対応に批判が上がっている。

 ぼくがこの問題で、まず考えたのは、「透析治療を受けない権利」ということだ。40年以上、内科医として多くの辛い疾患と接してきたが、患者さんのなかには積極的治療を拒否する人がいた。

 たとえば、進行すると自力で呼吸できなくなる難病がある。人工呼吸器をつけることを選択する人が多いが、全員ではない。一生懸命生きるが、その時が来たら人工呼吸器はつけず、死を選択するという人も少数いる。どっちが正解かという問題ではない。医療というより、個人の価値観の問題なのだ。

 がんの患者さんでも、手術をすれば寿命が延びる可能性があるのに、手術を拒否する人がいる。信仰上の問題で、死んでも輸血を拒否する人もいる。

関連記事

トピックス

“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
初めて万博を視察された愛子さま(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《万博ご視察ファッション》愛子さま、雅子さまの“万博コーデ”を思わせるブルーグレーのパンツスタイル
NEWSポストセブン
尹錫悦前大統領(左)の夫人・金建希氏に贈賄疑惑(時事通信フォト)
旧統一教会幹部が韓国前大統領夫人に“高級ダイヤ贈賄”疑惑 教会が推進するカンボジア事業への支援が目的か 注目される韓国政界と教会との蜜月
週刊ポスト
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン