芸能

高良健吾が新作映画で見せるラブシーンは「コスパ抜群」評

新作で新たな一面を見せた高良健吾

 高良健吾が出演する映画『多十郎殉愛記』が公開前から話題を呼んでいる。ふんどし、ラブシーンなど、見どころ満点の新作時代劇について、コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 先日、このコラムでは「日本ふんどし協会」が認定する昨年度の「ベストフンドシスト」の「期待の新人賞」に映画『麻雀放浪記2020』で、ふんどし姿で大暴れしている斎藤工が選ばれたことを書いた。そして、2019年度の「ベストフンドシスト」の有力候補は『いだてん』で「ひゃ~!!」奇声を発しつつ毎日、冷水浴を続ける主人公・金栗四三を演じる中村勘九郎ではないかとも書いた。

 しかし、ここへきて、もうひとりの有力候補が現れた。12日に公開される映画『多十郎殉愛記』に主演した高良健吾である。

 物語は、幕末の京都で自堕落な日々を送る剣豪の浪人・清川多十郎(高良)と彼を慕って面倒を見るワケありの女おとよ(多部未華子)の悲恋が軸となる。貧乏長屋で、ふんどしに背中に着物をひっかけただけの姿で、物憂げな表情の多十郎。ダメダメなのになんともいえない色男だ。『いだてん』の四三が体育会系なら、多十郎は美術系。ふんどしが真っ白じゃないところもこの映画のこだわりと見た。

 かつて高良健吾は、映画『武士の献立』では料理侍、大河ドラマ『花燃ゆ』では幕末の熱血男・高杉晋作、CMではスマホも使うが移動は馬というキリンの「淡麗侍」など、さまざまな侍を演じてきたが、私が記憶する限り、ふんどし姿が印象的なのは、この多十郎だけ。よくチラリと見えるように撮ってあるんだ、これが。

 すっかり「ふんどし」の話ばかりになってしまったが、映画の見どころはもちろん、そればっかりじゃない。監督・脚本は『極道の妻たち』などで知られる84歳の中島貞夫。レジェンド監督の約20年ぶりの新作であり、監督補佐には『私の男』で高く評価されている中島監督の教え子・熊切和嘉監督が参加していることでも注目されている。

 やがて、長州藩脱藩の多十郎は、京都の治安維持を強化する見廻組に見つかり、大勢の捕り方に追われる身となる。後半、追手の隊長・寺島進との一騎打ちシーンや竹林を駆け回る30分もの逃走劇は、昭和の映画全盛期のチャンバラ映画を思わせるすさまじさだ。小難しい説明は一切なし。走って斬って、また走る。しかも、よく見ると、多十郎は名うての剣士なのに、そんなに人を斬ってない? なんで? 監督は、きっとこういうチャンバラがやりたかったんだとわかってくる。さらに、もうひとつ「瞬間的」ともいえる多十郎のラブシーンがあるのも重要だ。なななんと、そこですか。しかも、こんな短い!でも、熱い! 監督、コレもやりたかったんだ…。

 ほんの少しなのに観た者に強烈な印象を残すラブシーン。派手な衣装も豪華なセットもないのにぐっとくる。ひょっとすると、めちゃくちゃコスパのいいラブシーンと言えるかも!? それなのにタイトルが「殉愛」となっているのも、気になるところ。美術系ふんどしと「殉愛」の行方を見届けたくなる。監督の作戦にうまうまと乗せられてしまうのが、この映画の正しい鑑賞法なのである。

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン