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2019.04.14 07:00  週刊ポスト

見事な落語、長編スリラーを表現した「殺しの龍玉」

落語通が蜃気楼龍玉の魅力を語る

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、長編スリラーを見事に表現した「殺しの龍玉」こと蜃気楼龍玉についてお届けする。

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 五街道雲助の三番弟子、蜃気楼龍玉。三遊亭圓朝作品や怪談噺など、重厚な作品を好むいぶし銀の演者で、人呼んで「殺しの龍玉」。3月13日、半蔵門・国立演芸場で彼の『緑林門松竹』通し口演を聴いた。

 譽石という毒薬を手に入れた者が次々と人を殺していく長編スリラー『緑林門松竹』は、『真景累ヶ淵』や『怪談牡丹灯籠』と同じく圓朝がまだ江戸の時代に書いた初期の作品で、龍玉はかつて発端から結末までを全17回の口演で語りきったことがある。その長編を龍玉が「2時間で通して演じる」ため、落語作家の本田久作氏が新たに脚色を施したのが2016年のこと。今回はその再演だ。

 室町時代に南蛮から渡った譽石は人に悪心を起こさせる魔の毒薬。長年の間に転々と持ち主を変え、根津七軒町の医者、山木秀英が所持していたが、これを盗もうと下男を装って入り込んだ新助市という悪党が、秀英の妻を殺して入手。さらに秀英も殺した新助市は、秀英の妾おすわと一緒になり前橋へ逐電した。

 三年後のある日、新助市は娘連れの老人を殺して娘を吉原へ売る。その晩、おすわは秀英との間に出来た幼い息子に新助市を殺させようとするが、返り討ちに遭って息子ともども殺される。ここまでが「上」。

「下」では江戸で女占い師を装い美人局で稼ぐ「またかのお関」という悪女が登場。昔の男だった新助市に偶然再会して譽石入手の経緯を聞くと、これを殺して譽石と百二十両を手に入れる。お関が惚れ込んでいる亭主の平吉は、世話になっている若旦那が松葉屋の常磐木という花魁を身請けするための金を工面しようとしていたが、常磐木とは新助市がかつて殺した老人の娘お時。百二十両はお時を吉原に売った金だった。

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