逆流性食道炎は30年前に比べ罹患率は10倍になり、まだ診断を受けていない潜在層を含めると患者数は1500万人になると推定されているが、増加の背景には「医療技術の進歩」も関係している。
じつは、逆流性食道炎が増加した一因として挙げられるのがピロリ菌除菌だ。
「2013年に同菌に対する除菌治療の保険適用が慢性胃炎にまで拡大されたことで除菌者が増加。高齢者でも胃酸の分泌が高く維持される人が急増したのです」(上村医師)
ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍、胃炎などの原因菌であり、もちろん除菌したほうがいい。除菌薬は日本人の胃がん死を大幅に減らした立役者だが、その意外な“副作用”がこの逆流性食道炎なのだ。
ピロリ菌除去で胃がんのリスクを取り除いたはずが別のがんのリスク要因になりかねないとは皮肉である。
※週刊ポスト2019年4月26日号