目の前で「平成最後の~だね」が飛び出したら、「いいねー。そのフレーズを聞くと『ああ、時代の節目なんだな』ってあらためて気持ちが引き締まるよね」「あはは、そういうふうに言うと、同じねぎぬたでもありがたみが増しますね」と持ち上げることで、果敢に使ってくれたことへの感謝と敬意を示しましょう。
顔なじみのクリーニング屋さんや八百屋さんで、帰りがけに「きっと平成最後ですね」と言われたときは、姿勢を正して「平成時代はお世話になりました。令和もよろしくお願いします」ときちんと挨拶するのがオススメ。何気ない軽口が美しい儀式に発展して、お互いに平成最後のいい思い出ができます。しかも一気に心が通じ合って、令和以降、お客様カードのスタンプを余分に押してくれるようになるかもしれません。
そうこうしているうちに、すぐ令和がやって来ます。テレビもラジオもネットも大騒ぎになるでしょう。そして、雨後の筍ならぬ改元後の筍のようにあふれだすのが「令和最初おじさん」です。立ち向かうスタンスや心がまえは、「平成最後おじさん」と同じで差し支えありません。お好みに応じて、眉をひそめるという活用法もお楽しみください。
使い方も、さっきの「平成」を「令和」に入れ替えれば大丈夫。「よし、令和最初の耳掃除でもするか」「令和最初のひと口は、このタクアンにするかな」といった調子です。おだてるときは「いいねー。そのフレーズを聞くと『ああ、時代の節目なんだな』ってあらためて気持ちが引き締まるよね」「あはは、そういうふうに言うと、同じねぎぬたでもありがたみが増しますね」と、こっちは単語を入れ替える必要すらありません。
時代が変わったところで、おじさんの習性も大人の基本も人の気持ちも、そう簡単には変わらない──。改元を待ちかまえるという貴重な体験のおかげで、また大切なことに気付かせてもらいました。残り数日となった平成ですが、平成のあれやこれやに思いを馳せつつ心穏やかに過ごしましょう。そう、まさにヘイセイな気持ちで(平成最後のダジャレ)。