国際情報

韓国で起きる「親日派バッシング」 暗い背景

韓国で「親日派の娘」と非難された朴槿恵・前大統領と、「親日残滓の清算」を訴える文在寅・現大統領(AFP=時事)

 韓国における「親日派」とは、「戦前から戦中の日本統治に協力した民族の裏切り者」を指すという。著書『韓国「反日フェイク」の病理学』が話題の韓国人ノンフィクション・ライター崔碩栄氏が、ある「親日派」の子孫を襲った悲劇を解説する。

 * * *
 韓国ではある一つの国に対して、深い知識を持っている専門家や、その国に太い人脈を持つ人を「親○派」と呼んだりする。中国社会に詳しい人を親中派、アメリカが大好きな人を親米派といったように。ここで親中派、親米派といった言葉は特に悪いイメージの言葉ではない。

 だが、「親日派」といった場合、そのイメージは親米派や親中派とはまったく異なる。単純に日本文化が好きであるとか、日本に太い人脈を持つ人という意味ではなく、そこには「背信者」というニュアンスが含まれる。それゆえに、日本をよく知っていたり、太い人脈を持つ人たちは、自身が「親日派」と呼ばれることを相当に警戒し、恐れる。このため彼らはメディアが自分たちを「親日派」と呼ぶ代わりに「知日派」という名称を使うように求めている。次の記事がその例だ。

〈日本専門家の曺良旭氏(53・日本文化研究所所長)は国内の代表的な「知日派」の一人だ。彼は植民地時代ではない現在「親日」も「知日」も意味は変わらないと言いながらも、自分はあえて「知日派」と呼ばれることを望んでいる。世間に伝わる二つの単語のニュアンスが違うからだ〉(「時事ジャーナル」2005年1月31日)

 韓国においては日本をよく「知る」ことはプラスだが、日本と「親しい」ことはマイナスのイメージとなりかねない。

 マスコミ報道や学校では、「親日派」は日本統治時代に日本側について同胞である朝鮮民族を苦しめた背信者を表現する言葉だ。ドラマ、映画、漫画などに登場する「親日派」の姿はいつでも卑劣で、卑怯で、残忍な人として描写されてきた。日本人という言葉よりももっと大きな憎悪の対象が「親日派」だ。日本との関係が深く、日本に傾倒した人だとしても、同じ民族のために努力した人、あるいは人格者もいるであろうに、「いい日本人はいても、いい親日派はいない」というのが韓国の認識なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン