芸能

吉高由里子の『わた定』 きっと今後も沸騰し続ける理由

ドラマ『わたし、定時で帰ります。」の公式サイトより

 昨今、働き方は捉え方が極めて難しいテーマだが、それゆえドラマとしては恰好の題材ともいえそうだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 視聴者の間で議論沸騰中のドラマが、吉高由里子主演『わたし、定時で帰ります。』(TBS系火曜22時)。まさしく「働き方改革」関連法施行というタイムリーな時期に放送が始まりました。

 視聴率はうなぎ登り。初回9.5%でスタートし、2回目は0.9ポイントアップして10.4%と早々に2桁台に乗る勢いです。春ドラマ期待度ランキング(対象J:COMユーザーの男女計369人)でも1位を獲得しているので、今後まだ伸びしろがありそうな気配。文句なく、春期大注目のドラマと言えるでしょう。

 ドラマの中身は……かなり現実を投影していてガチな作りが特色です。中途半端に笑いに逃げたりせず、どうせフィクションとかごまかさず。主人公は「絶対残業しない」「必ず定時で帰る」をモットーとするwebディレクター東山結衣(吉高由里子)。結衣をめぐる職場の人々は、仕事への考え方も進め方もそれぞれ少しずつ違う。

 残業するのが当たり前の人、人の倍働くのが常識と思い込んでいる人、残業を拒絶する人、体調を崩しても休まない人、ブラック上司、産休後に復帰してきたモーレツワーキングママ……。

 そもそも、職場とはそういうもの。趣味や志が重なるという理由で集まった純粋集団ではない。違う価値観をすり合わせつつ課題をクリアしなければならないという修羅場。だから軋轢が生じるのも必然でしょう。

「人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある」。ちなみに経営の神様ピーター・ドラッカーは会社という集団をそう解析しています。

 さて、4月23日の第2話では、結衣の先輩にあたる賤ケ岳八重(内田有紀)がしんどかった。出産で休んだブランクを取り戻そうと、職場へ過剰適応していくワーママ。「やっぱり子持ちは」「だから女は」と言われないために頑張るしかない、という八重。意地を張るその姿をやりすぎと思いつつも、なまじ気持ちが理解できるだけに痛々しい。

 考えてみると、昭和から平成にかけ、こうした「過剰適応」タイプは日本の職場のあちこちにいて、いわば普通の存在でした。職場自体、仕事をクリアすると評価が上がる。アドレナリンも出る。それを続ければ麻薬的になる。仕事ができる人に仕事が集まり、残業は当たり前と化していく。残業を拒絶する人の評価は低く、戦力休止の出産はマイナスでしかなく、育休はとりにくく……延々と悪循環を生んできました。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン