笑顔でインタビューに応じるアグネス・チャンさん(撮影/藤岡雅樹)

 アグネス論争の渦中には常識外れな行動を欲ばりだと批判されながら、家族や応援してくれる人たちの力に勇気付けられて、自分の気持ちに正直に行動しました。その結果、知らず知らずのうちに働く女性の新しい道を切り拓いていたのかもしれません。今は産休や育休についても法律で認められ、芸能界でも“ママタレ”というジャンルが確立されました。出産してママになることでCMが増えることもあるし、結婚や出産で仕事をやめる必要もなくなりました。まだゴールとは言えませんが、アグネス論争が社会の意識が変わる小さなきっかけになったのであれば、いい経験だったと思います。

●取材・文/渡部美也

【プロフィール】アグネス・チャン/歌手・エッセイスト・教育学博士。1955年香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、カナダのトロント大学(社会児童心理学)を卒業。1989年米国スタンフォード大学教育学部博士課程に留学し、1994年に教育学博士号(Ph.D.)を取得。長男、次男に続き、三男も母校スタンフォード大学に合格して話題となる。現在、ユニセフ・アジア親善大使、日本対がん協会ほほえみ大使など芸能活動のみならず幅広く活躍。2018年春の叙勲で旭日小綬章を受章。

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