芸能

水どう・藤やん出演『チャンネルはそのまま!』の優れた点

ドラマ『チャンネルはそのまま!』は水どうメンバー多数(イラスト/ヨシムラヒロム)

ドラマ『チャンネルはそのまま!』は水どうメンバー多数(イラスト/ヨシムラヒロム)

 テレビは何を伝えるべきか。視聴者が見たいものを追いかけるのがテレビの性だし、視聴率のためには何でもやる意気込みで番組作りに取り組むものだ。だが、果たしてそれだけでよいのか? そんな疑問に答えようというのか、佐々木倫子の漫画『チャンネルはそのまま!』を、モデルになった北海道テレビ放送(HTB)がみずからドラマ化、地上波で放送するだけでなくNetflixでも公開している。『水曜どうでしょう』の名物ディレクター、藤やんこと藤村忠寿が監督と出演もしたドラマは、果たしてテレビの未来を占うものとなったのか。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、藤やんのクセ者ぶりについて考えた。

 * * *
 振り返ってみれば『水曜どうでしょう』は異常な番組だった。タレントよりもスタッフが騒ぎ、クリスマスともなれば局の駐車場で勝手にパーティーを開催。映し出される個性豊かなスタッフと自由闊達な社風。制作局の「HTB(北海道テレビ)」は『水曜どうでしょう』のヒットによって全国で名が通る世にも珍しいローカル局となった。

 そんな「HTB」が開局50周年記念を祝し、ドラマを制作したという。その名も『チャンネルはそのまま!』。北海道での本放送は終了したが、現在Netflixで全話観ることができる。

 おバカだけど仕事には一生懸命な新人記者の主人公・雪丸花子(芳根京子)が働く「HHTV(北海道★テレビ)」のモデルは「HTB」。つまり『チャンネルはそのまま!』は、自社をモデルとした群像劇である。

 こういった業界モノで重要なのがセットだ。モニタ越しから伝わる安普請によって、ドラマ自体への興味がうすれてしまった……、なんて人もいるはず。しかし、『チャンネルはそのまま!』においては心配ご無用。50年にわたり、放送事業をおこなっていた実際の「HTB」旧社屋をそのまま使用している。

 ドラマのプロデュース担当は『水曜どうでしょう』チーム。よって、ローカル局の仕事もリアルに再現される。エキストラは実際の「HTB」社員、舞台となるテレビ局のシーンは盤石の作りとなっていた。

 まだまだ異例は続く、特筆すべきは役者について。

『チャンネルはそのまま!』で美味しい役柄といえば、雪丸がピンチの際に助言をくれる陽気な情報部長・小倉である。間違いなく注目されるドラマ、俳優にとって喉から手が出るほど欲しい役柄だ。

 で、小倉を演じたのは誰か?

 藤村忠寿。

 聞いたことない名前だな……、なんて思った人もいるだろう。まず藤村の本職は俳優ではない、かといって歌手でもないが。

 実は藤村、上記した“タレントよりも騒ぐスタッフ”でおなじみ、『水曜どうでしょう』の名物ディレクター。確かに原作漫画の連載時から、小倉は藤村そっくりだと評判だった。しかし、ドラマ制作時にはプロの役者によって演じられるのが通常である。ところがモデルそのままに藤村が小倉役を射止めた。メインキャストの1人が裏方のテレビマン、そういった点でも前代未聞のドラマとなっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン