私がもっとも呆れた検察側の主張は「(朴教授が元慰安婦の)証言を真実として受け入れなかった」ということだった。しかし、「証言=真実」と無条件に信じることは相当危険な行為だ。そもそも、すべての証言が必ず真実とするならば、世の中に偽証罪や虚偽告訴罪など存在しないはずだ。

 当然ながら、現実の韓国社会においてすべての「証言」が「真実」だと信じられているわけではなく、偽証も虚偽告訴も存在することは検察もよく知っていて、それらは処罰の対象だ。だが、慰安婦は現在の韓国において決して疑うことが許されない神聖不可侵の特別な存在、まるで「聖女」になってしまっている。なぜなら、慰安婦に対する韓国の「通説」が韓国の「公共の利益」に合致しているからだ。

 朴教授の裁判は告訴から約5年の月日が過ぎた2019年現在、まだ結審していない。5年という長い月日は、一人の学者を精神的にも肉体的にも疲弊させている。民事裁判では慰安婦9名に各1千万ウォン(約100万円)ずつ、計9千万ウォンの賠償命令が下され、朴教授は給与を差し押さえられた。刑事裁判の1審では朴教授は無罪を勝ち取ったものの2審では逆転有罪判決を受け罰金刑を言い渡された。韓国社会において激しい非難にさらされていることは言うまでもない。

 結果としてこの騒動が韓国社会に強烈な「見せしめ」効果を与えたことだけは間違いない。歴史や慰安婦問題に関心を持ち研究する学者、ジャーナリスト、そして一般人にさえも、「(韓国社会の)公共の利益に反する言動をすればどんな目に遭うか」を明確に示して見せたのである。朴教授の受難を目の当たりにすれば、どんな人でも、慰安婦問題について独自の新しい見解を披露することを躊躇せざるを得ないだろう。

※崔碩栄・著『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館)より一部抜粋、再構成

【プロフィール】チェ・ソギョン/1972年、韓国ソウル生まれ。高校時代より日本語を勉強し、大学で日本学を専攻。1999年来日し、関東地方の国立大学大学院で教育学修士号を取得。大学院修了後は劇団四季、ガンホー・オンライン・エンターテイメントなど日本の企業で、国際・開発業務に従事する。その後、ノンフィクション・ライターに転身。著書に『韓国人が書いた 韓国が「反日国家」である本当の理由』、『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(以上、彩図社)、『「反日モンスター」はこうして作られた』(講談社)などがある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン