国内

SNSで広まる「個人間融資」 振り込め詐欺加担への端緒に

タイ警察による取り調べ中の日本人詐欺グループの男ら(時事通信フォト)

タイ警察による取り調べ中の日本人詐欺グループの男ら(時事通信フォト)

 インターネットで「個人間融資」と検索すると、100万件以上のページが検索結果として表示される。SNSでも同様で、「#個人間融資」「#即日融資」「#お金借りたい」といったハッシュタグで、借りたい人と貸す人の情報交換がさかんに行われている。しかし、これら個人間融資が、振り込め詐欺の実働要員になる入り口として機能している現実がある。ライターの森鷹久氏が、振り込め詐欺と個人間融資との関係についてレポートする。

 * * *
 日本から遠く離れたタイ中部の都市・パタヤで、日本への「振込め詐欺」を行なっていたとして逮捕された日本人15人について、警視庁が詐欺容疑で捜査する意向を固めた。大手紙警視庁担当記者によれば、15人の身柄は近く日本に移送され、本格的な取り調べが行われる予定だという。

「マジで迷惑ですって…。俺なんも知らんすもん。Xとは数年前に会ったきり。遊びがえらい好きやったみたいで、借金も何百万…いや一千万くらいあったかもしれんすけど。気の小さいやつで、とても詐欺ばする度胸はなかでしょう。Xの知人やけんて、俺も疑われとるんですか?」

 逮捕された15人のうちの一人、福岡県出身の男・X(二十代)の知人が、筆者の取材に狼狽しながら声を潜める。近年、中国や東南アジアに拠点を置き、日本国内向けに振り込め詐欺電話を行うなどの特殊詐欺事件が相次いで露呈している。特殊詐欺事情について明るい暴力団関係者は「日本当局の捜査が及ばない、もしくは現地当局に金を渡せば何とでもなる国にアジトを置けば挙げられ(検挙され)にくい」と話す。

 今回の事件の“特質性”をあげるとするなら、15人中11人の本籍が九州地方に固まっていたこと。そして、そのうちの複数の人物が福岡県福岡市やその周辺で事業をするなどして生活していたことだ。中には、筆者と同じ佐賀の片田舎出身で福岡市に住む男(二十代)もいた。福岡市中心部のナイトクラブでDJとして活動しており、筆者の旧知のクラブ関係者などに問い合わせてみたが、連中と詐欺、それも海外から日本に電話をかけるという組織的な犯行とのつながりは一向に見えてこない。

 別の逮捕者の知人男性も「(逮捕された男が)東南アジアで仕事をしていることは知っていたが、飲食店だと言っていた」と首をかしげるばかり。

 一方で、連中が詐欺に身を堕とした“接点”は、全く別のところに端緒を見出せた。九州北部に拠点を置く広域指定暴力団に出入りをする、いわゆる「半グレ」と称される男性(30代)によれば、SNS上などで密かに流行っている“個人間融資”を通じて、出し子や受け子など、特殊詐欺の末端要員たちがいとも簡単に集められ、海外に送り込まれているという。

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン