芸能

『俺スカ』白石麻衣 “黒一色”と“下ネタ”で挑む本当の意味

女優としての飛躍が期待される白石麻衣

 古田新太主演で話題を集めるドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)。この作品で、古田とはまた違った存在感を示しているのが乃木坂46の白石麻衣だ。女優として飛躍する大きなチャンスを迎えているという白石について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 元号をまたいだ今月上旬に、白石麻衣さんのセカンド写真集『パスポート』が25度目の重版を行い、累計36万部となったことが明らかになりました。2017年2月の発売から2年3か月過ぎての増刷は前代未聞であり、性別年代を問わない人気ぶりがうかがえます。

 これだけ人気がある以上、芸能活動が多様化し、なかでも女優としてのニーズが高まるのは必然。世間の人々と制作サイドの期待を受けて、今春は『俺のスカート、どこ行った?』に出演しています。

 ただ意外なのは、今作が民放プライム帯の連ドラ初レギュラーであること。これまでは深夜帯やゲスト出演が多かっただけに、今年8月で27歳となるタレントとしては、「今作が今後の試金石になるだろう」と言われているのです。

◆いい意味で浮く圧倒的なビジュアル差

『俺のスカート、どこ行った?』は、ゲイで女装家の主人公・原田のぶお(古田新太)が高校教師となって、型破りな方法で生徒たちの問題に向き合っていく学園ドラマ。白石さんが演じる里見萌は、「憧れていた教師になったものの、教育現場を目の当たりにして、完全に心がやさぐれてしまった反抗期全開教師」という主人公に負けない個性的な役柄でした。

 里見は、まだ教師2年目の立場であるにも関わらず、学校に遅刻し、集会で居眠りし、保健室で昼寝するなど、やる気のなさが際立っていますが、注目すべきは心の闇を感じさせる黒一色の服装。教師たちの中で異質な存在となっているほか、職員室では向かいの席で座り、朝礼では隣に立つなど、カラフルな服を好む原田とのコントラストになっています。

 そもそも白石さんには、非イケメン中年の古田さんが主演である分、「美しさ」「愛でる」という役割がありますが、大倉孝二さん、荒川良々さん、小市慢太郎さん、シソンヌじろうさんら教師役の俳優が並ぶと、そのビジュアル差は歴然。見る人の多いドラマでは「演技力以上に重要」と言われる視覚的な存在感が大きく、「いい意味で浮いている」「確信犯的に違和感を醸し出す」ことができます。

 もう1つ、里見のキャラクターを際立たせているのは、毎週のように発せられる下ネタ。原田の歓迎会で「ポコチンはどうしてるんですか?」「デカチンか~」と発したあとも、「ファイティンポ(ファイトの造語)」「きん(たま袋と言おうとしたところを遮られて未遂に終わる)」などのフレーズを繰り返しているのです。

 もちろんこれは脚本・演出によるものですが、白石さんサイドがOKを出さなければ実現しないもの。白石さん本人が「言いにくさはない」とコメントしていることから、むしろ歓迎している感すらあり、今後も見られるのではないでしょうか。

◆美しさを武器にしたコメディエンヌへ

 制作サイドが、清楚で美しい白石さんに下ネタを話させることでインパクトや話題性を狙っているのは明らかですが、白石さんとしても演じられる役の幅を見せる絶好機。各局の作り手たちに、「私はここまでやれるんですよ」「遠慮なくオファーをください」と言っているようでもあるのです。

 思えば白石さんは、昨年放送の『やれたかも委員会』(MBS制作、TBS系)でも下ネタを連発していましたが、当時は「深夜ドラマだから」というエクスキューズがありました。しかし、多くの人々が見るプライムタイムで思い切った役を演じたことで、今後は制作サイドが「この役は受けてもらえないだろう」とオファーを自粛するケースは減るはずです。

 白石さんは、すでにさまざまな職業を演じても違和感のないアラサーだけに、今回の教師からOL、ミュージシャン、料理人、エステティシャン、連ドラ定番の刑事、医師、弁護士、あるいは時代劇の姫まで、さまざまな役柄への対応が可能。「清楚」「美しさ」のイメージに縛られることなく、あらゆる役を演じられれば、女優として一気に羽ばたけるでしょう。

 王道の可憐なヒロイン以上に期待されているのは、コメディでの活躍。近年ドラマ業界では、「シリアスな作品は見てもらえない」「特に平日の夜は重いムードの作品は厳しい」という傾向が強く、コメディの割合が増えています。

 その点、白石さんにとってのコメディは「清楚」「美しさ」からのギャップを見せるチャンス。もともとバラエティーでは「黒石さん」という毒気たっぷりのキャラも見せるなど、笑いのセンスにも定評があったことが、里見の人物設定につながっているだけに、コメディエンヌとしての才能が開花するかもしれません。

「圧倒的な美しさを武器にしたコメディエンヌ」で思い浮かぶのは北川景子さん。たとえば、今年3月まで放送していた『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)のヒロイン・三軒家万智を白石さんが演じたら……と思い浮かべたら意外にしっくりくるのではないでしょうか。「異性はもちろん、同性からも愛され、憧れられる」という点も含めて、白石さんが北川さんと同じ主演女優へのステップを駆け上がっていっても不思議ではないのです。

◆「黒一色」の服装が「赤一色」に変わるか

関連記事

トピックス

公判で明らかになってきた田村一家の“地獄の家”の全貌とは
《どうしてここから出られないの…》田村瑠奈被告は現在も「首を拾っただけなのに」と弁護人に伝達、裁判で明かされた“家庭内暴力”「ガムテープが飛んできた」「運転中に首絞め」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
自身のXで追悼のメッセージを送った羽生結弦(AFLO_sports)
「一生忘れません」羽生結弦、飛行機事故で急逝した伝説のフィギュアスケーターに追悼メッセージ 苦しい時に心の支えになった大先輩との“手紙での交流”
女性セブン
ジャンボ軍団がセレクションに登場。左から金子柱憲、飯合肇、尾崎直道、尾崎健夫(撮影・太田真三)
10年ぶりに勢揃いのジャンボ軍団が語り合った「日本の男子ツアーが盛り上がらない理由」 女子はスターが次々と出てくるのに“ジャンボ尾崎の跡取り”が出ない苦悩
NEWSポストセブン
慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
1月23日、トランプ大統領はケネディ暗殺に関連する非公開資料を機密解除する大統領令に署名した(写真=AP/AFLO)
【本当に狙ったのは誰か】「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件」の記録が完全公開へ 落合信彦氏の著書『二〇三九年の真実』で指摘された謎や不審点
週刊ポスト
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン
引退後の生活を語っていた中居正広
【全文公開】中居正広、15年支えた恋人との“引退後の生活” 地元藤沢では「中居が湘南エリアのマンションの一室を購入した」との話も浮上
女性セブン
2名の未成年飲酒が確認された慶應義塾アメフト部(時事通信/インスタグラムより)
《2年足らずで再度発覚》慶應アメフト部員、未成年飲酒で複数名が処分 同部が声明「厳正に対処いたします」
NEWSポストセブン
親方としてのキャリアをスタートさせた照ノ富士(写真・時事通信フォト)
【25億円プロジェクト】照ノ富士親方の伊勢ヶ濱部屋継承 相撲部屋建設予定地の地主が明かした「6階建てお洒落建物」構想
NEWSポストセブン
水原被告がついた「取り返しのつかない嘘」とは
水原一平被告がついた「取り返しのつかない嘘」に検察官が激怒 嘘の影響で“不名誉な大谷翔平コラ画像”が20ドルで販売
NEWSポストセブン
折田氏が捜査に対し十分な対応をしなかったため、県警と神戸地検は”強制捜査”に踏み切った
《「merchu」に強制捜査》注目される斎藤元彦知事との“大きな乖離”と、折田楓社長(33) の“SNS運用プロ” の実績 5年連続コンペ勝ち抜き、約1305万円で単独落札も
NEWSポストセブン
ギリギリな服装で話題のビアンカ・センソリ(インスタグラムより)
《露出強要説が浮上》カニエ・ウェストの17歳年下妻がまとった“透けドレス”は「夫の命令」か「本人の意思」か
NEWSポストセブン