芸能

世界で愛される日本の「シティー・ポップ」を求める外国人

1984年発売の『VARIETY』は竹内の活動復帰後、1作目となるアルバム

 現在、世界中で愛されている日本の“シティー・ポップ”。山下達郎や竹内まりや、大瀧詠一らが代表格だ。米英を中心とした欧米のレコードコレクター、DJなどが“日本の音楽は熱いぞ”とインターネットを通して発信したことが、世界規模で知名度を高めた一因だという。

「日本からの発信ではなく、海外の音楽マニアがSNSで発信したことこそが、世界中に拡散した要因でしょう」

 そう解説するのは音楽ライターの栗本斉さん。

 そのムーブメントを現地メディアが取り上げ、さらに拡大していく。昨年6月には30か国以上に配信されている若者に人気のデジタルメディア『VICE』で、イギリスの音楽ライターが“日本の80年代シティー・ポップが最高”と題し、竹内まりやの名曲『プラスティック・ラブ』がいかに素晴らしいかを猛プッシュした。すると、動画サイトでは2000万回以上再生され、コメント欄には世界中から書き込みが寄せられ、熱狂に沸いた。

 また、海外のミュージシャンにカバーされているのも注目度が上がった要因の1つだ。音楽ライターの金澤寿和さんはこう説明する。

「この曲が海外でずば抜けて人気なのは、演奏はバンドサウンドでありながら、まりやさんのポップなメロディーと、デジタル的な音作りが見事にマッチし、30年以上前の曲だというのに、まったく古さを感じさせないからでしょう。そうした点が、近年盛り上がる80年代のダンスミュージック人気に重なったといえます」

 とあるレコードショップでは、『プラスティック・ラブ』が収録された竹内のアルバム『VARIETY』が目立つコーナーに陳列され、日本語とは別に、海外からの客のために英語でも紹介文が貼り出されている。

『ディスクユニオン新宿 日本のロック・インディーズ館』店長の松岡秀樹さんはこう話す。

「レコードで『プラスティック・ラブ』だけを収録した12インチ盤シングルは値段が高騰しています。しかも最近では国内外でカバーされる機会も増え、さらに価値が上がっています。日本人も高値で買っていくうえ、海外の人も探しているので、1枚の価格は万を超えます」

 シティー・ポップの象徴的作品である山下達郎のアルバム『FOR YOU』も日米2か国語の紹介文がつけられている。

「『SPARKLE』など有名な曲も入っていて、全編を通してクオリティーが高いので、レコード盤は入荷してもすぐ売り切れる状態です。常に品薄でどんどん値が上がりますが、それでも瞬く間に売れていきます」(松岡さん)

 山下の復刻盤レコードはいくつか発売されているものの『FOR YOU』はいまだに復刻されていない。

「ご本人のラジオで、“『FOR YOU』の音は当時のプレスでしか表現できない”といったお話をされていたので、今後も復刻される予定はないと思います。そういった理由もあり、とても貴重なレコードとして扱われています」(松岡さん)

 名盤は数万円から数十万円で取引されることも珍しくないという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン