懲戒権で躾ができるといっても、鉄拳制裁は御法度です。親が自分の身体を使ってできるのは、子供の乱暴な行為を抑制したりする程度。また、懲戒として子供にある行為をさせる場合にも、限界というものがあります。正座させて反省を求めるのはごく普通の躾ですし、脚が痺れても問題ないとは思いますが、板の間での長時間正座、食事や睡眠を取らせないで身体に変調をきたすようになれば、度を過ぎていることになるでしょう。
学校も教育上必要があるとき、児童や生徒を懲戒することは教育基本法で認められていますが、体罰を加えることはできません。文科省では体罰の精神的苦痛を与えるものとして、教室に居残りを命じ、トイレに行かせない、教室内で正座させられ授業を受けた生徒が、苦痛を訴えても継続させるといった例を挙げています。
【プロフィール】1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年6月7日号