国内

SNSでの「個人間融資」に騙された被害者たちの証言

安易な依頼が手痛い事態を招くことも

 かつて「お金を借りる」という行為には後ろめたさがつきまとい、慎重にならざるを得ないものだった。ところが、SNSを使った「個人間融資」は、その入口に誰でも簡単にたどり着け、申し込める。その敷居の低さのために広まる「個人間融資」をさらに悪用し、金銭その他を奪おうとする勢力が出現している。窮地に陥って視野が狭くなったときに、SNSを悪用する者たちにつけ込まれた末の被害について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 先日、SNS上で広まる「個人間融資」が、いわゆるオレオレ詐欺など「特殊詐欺」に手を染める末端要因の「リクルート」に利用されている実態を詳報した。

 SNSを使った「個人間融資」とは、ツイッターやインスタグラムなどの「金を融資する」といった書き込みをもとに、金を借りたいユーザーが金を貸す側と接触することから始まる融資。貸し手の多くは金融業としての届け出はしておらず、多くは複数の法律に違反した“闇金”だ。だが、具体的なやりとりの様子がDMなどに移って見えにくいためか、推定される取引数に対して逮捕や摘発が極端に少ない。取材を重ねた結果、得ている実感としては、SNS経由の個人間融資は真っ黒に近いグレーな存在といえる。

 そんな危ない闇金、使う方がバカだ──。

 そういって借り手を断じることは簡単にできる。だが、溺れる者は藁をも掴むとはよく言ったもの。切羽詰まった人にとって、常に身近にあるスマホで簡単にたどり着ける存在は、救命ボートのように見えてしまう。SNSを使った「個人間融資」はいま、窮地に追い込まれて冷静さを失っている人間に金を貸すことに特化し、社会経験があまりない学生や、事件や事故に巻き込まれて判断力が低下している人を標的にするが、こうした現状を逆手に取る連中も登場し始めている。

「サークルの飲み会が続き、仕送りとバイト代が底をつきました。先輩に聞いて学生ローンなども検討しましたが、親にバレると大変だし、ツイッターで見つけた”融資話”に乗っかってしまいました…」

 こう話すのは、都内の有名私大に通う女子大生・みずほさん(仮名・20才)。四国から上京してきた2年前、サッカー系サークルに入部すると、一年生リーダーに抜擢された。飲み会や食事会で支払いが足りないと身銭を切ってしまうなどのお人好しさも手伝い、仕送りやバイト代はあっという間に底をついた。知人から、未成年でも金が借りられるという「学生ローン」の存在も教えてもらったが、親や学校にバレないかという不安がのしかかる。

「無知だったんです。そもそも、お金がなければサークルを辞めたり親に相談すればよかった。でも焦ってしまい“ツイッターでならこっそり融資してもらえる”と思い込んでしまった。10万円借りようとしたところ、身分証を送れ、バイト先を教えろなど言われて、言われるがままに従ってしまい…」(みずほさん)

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン