スポーツ

野村克也氏「サッチーさんとやっていけたのは世界で俺だけ」

オバ記者が「後がまにいかがですか?」と言うと、「光栄です」とノムさん(撮影/疋田千里)

 妻・沙知代さん(享年85)と死別した時のこと、その後のこと、昔のことを新刊『ありがとうを言えなくて』(講談社)に綴った野村克也さん。対談は、「泣けないんだよなぁ」と言うノムさんのボヤキ節から始まった。あけすけで、辛辣で、なのに妻への愛情がたっぷりと詰まった名将からの“返球”をとくとお聞きあれ──。

「よく“歯に衣着せぬ”というけれど、サッチーさんのためにあるような言葉だな。俺もずいぶん、腹わたが煮えくり返るようなことを言われたよ。 

 特にひどいのが監督時代、試合に負けて帰るとボロカス。玄関を開けるなり、『何やってんのよ』って。勝っても、『よくやった』とか、『よかったね』とか、いっさいない。ただ黙っている。勝って帰るのは当たり前だからね」(野村さん、以下「」内同)

“名将”の誉れ高き監督でも、負けが続くことだってある。「何やってんのよ」の出迎えがつらい日だってあったのではないか。言い返したことはないか、と聞くと「言い返さない」と即答。

「言ってもしょうがないという諦めと、あとは我慢ですよ。夫婦とは、耐えること。我慢、我慢だ。俺は田舎の極貧の家に生まれたせいで、子供の頃から我慢ばっかり。我慢強さだけは人に負けない自信があるな」

 聞いていると野村さんが気の毒になってきて、その我慢が利かなくなる時があるのではないかと言うと、

「まあ、でも、なんだ。『何やってんのよ』と怒るのは、俺に勝ってほしいからで、“勝つ”という目的は夫婦一緒だからね。それにバーンと言い放ったら、それで終わりだ。いつまでもぐずくず言わないからね。

 でも内助の功とは反対だな。南海ホークスをクビになったのも、阪神タイガースを辞めさせられたのも、原因はサッチーさん。

 俺が家に帰って、『しょうもないところに投げおって』と選手のミスをボヤくでしょ。そうすると、すぐに球場に行って、それを直接、選手に言うんだよ。『あんたが言えないんなら、私が言ってやるわよ』ってつもりなんだろうけど、言われた選手はたまったもんじゃない。当時はそんなことがあったとは知らなかったけど、選手には迷惑をかけた。それで南海をクビになったら、『関西なんか大っ嫌い。東京行こ、東京』ですよ。

 あの時はなんとも言えず、寂しかったね」

関連記事

トピックス

一般の人々が公務中の皇族を撮影することはマナー違反なのか。宮内庁に取材した(時事通信フォト)
《「非礼ではないか」の声も》宮内庁が回答した「一般の方々」の“撮影・投稿ルール” とは…佳子さま“どアップ”動画に称賛も、過去には“寝顔盗撮”が問題に
NEWSポストセブン
“ラブホテル通い”を認めた小川晶・前橋市長
《前橋市長が利用した露天風呂付きラブホ》ベッド脇にローテーブルとソファ、座ると腰と腰が密着…「どこにどのように着席して相談したのか」疑問視される“部屋の構造”
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《自分の身体で稼いだものだ》「タダで行為できます」金髪美女インフルエンサー(26)、離婚手続きで夫サイドと資産めぐり対立「一部が分配されるべき」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
「家に帰るのが幸せ」大谷翔平がリフレッシュする真美子さんとの“休日”「スーパーにお買い物に行ったり…」最近は警備強化で変化する「デコピンの散歩事情」
NEWSポストセブン
高市氏、小泉氏
自民党が進める“日本維新の会との連立交渉”に2つの壁 維新が連立条件に掲げる「大阪副首都構想」は自民党内の大きな火種に、大阪で対立する公明も強い難色
週刊ポスト
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《国内復帰を目指す前田健太投手》「漂う関東志向」元アナウンサー妻がSNSに投稿した“東京の父”と慕うカープの大先輩との写真
NEWSポストセブン
草間容疑者は新宿区内の雑居ビルエントランスで逮捕された
《マスク姿でウロウロ…》草間リチャード敬太容疑者が逮捕前に見せていた“不可解な行動”とは 近隣店従業員が「一見酔っている様子はなくて…」と語る“事件直前の姿”
ハッシーが語った“転落”(本人SNSより、現在は削除済み)
性風俗店受付の面接を受け「なんでこんなことに…」人気棋士・ハッシーが法廷で語った離婚後の“転落”「公園で過ごすことも」【橋本崇載被告・公判】
NEWSポストセブン
アルゼンチンで女性3名が殺害される事件が発生した(Instagramより)
「性的パーティーに誘われて…」「左手の指5本と耳を切断」アルゼンチンで女性3名が殺害 “インスタ生配信”で凄惨現場を約45人が視聴《深刻化するフェミサイド》
NEWSポストセブン
総裁選に出馬した林芳正氏(時事通信)
「2時間ほどしていた」「紳士でした」“セクシーヨガ”と報じられた美人インストラクターが語る林芳正氏のスタジオでの姿
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
《クロスボウ殺人》母、祖母、弟が次々と殺され…唯一生き残った叔母は矢が貫通「息子は、撃ち殺した母をリビングに引きずった」【野津英滉被告・公判】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 朝日新聞を襲う「森友ブーメラン」スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 朝日新聞を襲う「森友ブーメラン」スクープほか
NEWSポストセブン